通勤通学でごった返す駅でちょくちょくみかける赤髪が最後尾に並んでいるのを見て喜びと同時に本当に並んでいいものかと躊躇う。ストーカーだと思われるかなとかその前に私を覚えてなんかいないだろうとか瞬時に頭の中をぐるぐる回る。結局、欲が勝って彼の後ろに並んでいるのに気づいた時は思わず心の中で笑ってしまった。電車が到着して流れるように彼の後ろに続いて乗り込もうとしたけど満員過ぎて乗れないかもしれない。困ったな、諦めて次の乗るしかないのかな…?そう思っていたらぐいと腕を掴まれて満員電車に引き込まれる。 「あの…」 「お礼は俺とメールすることでいいぜぃ」 そう笑って彼は私にアドレス付きの紙を押し付けたのだった。 朝/丸井ブン太/110529 |