下忍の頃はいつまでも子供でいたい、そして子供でいられるそんな気がしていた。けれどそんな夢みたいなことを言ってられないと気づいたのは中忍試験に合格した時。責任も増え、任務のランクも上がった。上忍となった今ではそんな日々も懐かしく感じられる。木ノ葉の里に帰るのは2年振り。大好きな私の里。大好きなあの人がいる里。無意識に足は速まる。門を潜ればコテツさんにイズモさんが笑顔で迎えてくれた。変わらない里の様子に懐かしさがこみ上げる。


「キバせんせー」
「赤丸にのせてよー」
「よし!じゃあこの印覚えたら、乗せてやるぜ!」
「やったー!」


…間違える筈ない。あの茶色のふわふわの髪は、頬の赤い三角は、光る犬歯は、子供みたいな無邪気さも全部キバだ。


「…キ、バ」


言い終わるか終わらないかのうちに私は高い屋根の上に居た。視線を上げればキバがにやりと意地悪そうな笑みを浮かべている。


「よう、ナマエ」
「あ、こんにちは」


2年前より低く艶っぽくなった声で名前を呼ばれて動揺してしまう。とてもじゃないけどこんなの恥ずかしくて耐えられない。


「なあ」
「何よ」
「お前少しは大人っぽくなってるかと思ったのに全然変わんねーな」
「バカ!そういう時はキレイになったねとか気の利いたこといいなさいよ!」


ムキになって言い返して顔を上げればキバの顔が間近にあって思わず後退り。じわり、キバは詰め寄る。じわり、私は後退り。じわりじわり。


「あーもう我慢できねえ!」
「うわっ」


攻防戦、攻めたのはキバ。気づけば私は彼の温かくて強い腕の中。ここってこんなに広かったっけ。


「ナマエ」
「うん」
「オレ上忍になったんだぜ」
「見たよ、キバ先生」
「オレ、ずっと待ってた。お前に会えるの。」
「私もだよ…キバ」


同じだなオレら、2年前より大人っぽく、けれど変わらない私が大好きな笑顔でキバは笑って言った。


「おかえり、ナマエ」
「ただいま、キバ」



おかえりただいま愛してる
090614 空峰/title にやり


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