◎千歳と雨宿り
「でね、そのときオサムちゃんが…あれ?」
「どげんしたと?」
「雨、降ってきた?」
「ん、わからんが?」
「今ほっぺたにぽつって…き、きたー」
「あの屋根の下逃げるばい!!」
「あ、ちょ…」
「ふう、なんとか濡れずにすんだとね。いきなりどしゃ降りになるけんびっくりしたばい」
「ち、千歳…手」
「あ、すまんすまん。風邪ひかせるわけにはいかんと思ったら、つい、な」
「い、いや…ありがとう。それにしても止む気配あらへんね」
「オレ傘持っとうよ」
「あ、そうなんや。ほんだら千歳先帰ってええよ」
「なんば言いよっと、2人で相合い傘すればよかね」
「そ、そんなん出来へんよ」
「オレと相合い傘するの嫌か?」
「ちゃうちゃうちゃうねん!けど恥ずかしいやん」
「オレはおまえさんと相合い傘出来たらうれしかよ」
「あーわざとなんかな…」
「さ、入るたい」
「じ、じゃあお邪魔します」
「なんかトトロみたいやね」
「バス停のやつやね」
「それたい。そっち肩濡れてなかと?」
「大丈夫!千歳こそ濡れてへん?」
「平気ばい、ほんとむぞらしかねーおまえさん」
「ん、むぞらしかってなんなん?」
「あー気にせんでよかよ」
10梅雨テーマ拍手