昨日は、どきどきしてなかなか眠れへんかった。いつもだったら布団入って3秒後には眠りの世界やけど全然やった。なんたって今日、3月17日は言わずと知れた浪速のスピードスターことオレ、忍足謙也のバースデーや。おいおい寝てられるかっちゅーねん。ちゅーか誕生日おめでとメールくれたのが侑士だけてどないやねん。いや嬉しいけどな。なんかちゃうやん。


結局あんま寝れんかったオレは目が充血してイチゴみたいに真っ赤っかのまま朝練行った。やのにテニスコートには誰もおらんくて「いちばんのり!さすが浪速のスピードスターや」てテンションハイになりながら部室のドアを回すとガシャガシャと乾いた音が響くだけやった。押しても引いてもあかんねん。イライラしながらガシャガシャしとったらいきなしズボンのポケットが振動しだして思わず飛び上がってしもたわ。慌てて前後左右上下を確認したけど誰にも見られとらんかったみたいで安心した。もしや誕生日おめでとうメールか?ま、まさかナマエか?あかん、心臓口から出そうや…なになに、なんや白石か。まあええわ。さすがやな!完璧や!


3/17 06:00
from 白石   
件名 no title 
‐‐‐‐‐‐‐‐
急で悪いんやけど
今日朝練無しにな
ったで〜    


携帯持ったまま文字通り固まった。誕生日おめでとメールじゃないやんけ…てか朝練無しって…最悪や。なんで6時のメールが今更来とんのや。今7時30分やん。メールセンターでどんだけくつろいでんねん。めっちゃ悲しくなってテンション深海並みに低くなってもうたから大人しく教室行こうか思って後ろを向いて歩き出そうとした。ら、ドアに向けた背中にバンと部室のドアが開いてオレは前のめりに派手にこけた。


「おめでと謙也!」


パンパンと音が弾けて頭にカラフルな紙テープが乗った。ゆっくりゆーっくり振り返ったらテニス部のみんなが笑って立っとった。マネージャーもちゃんとおった。


「な、朝練無しやないん…?」
「ううん、謙也のことびっくりさせよう思ってん」
「すまんな謙也騙して」
「いや、いや。せやけどメールの時間が…どういうことや?」
「それ、光くんがそっちのがショック大きそうでおもろそう言うて提案してくれたんよ」
「ナマエ先輩言わんでええですわ」
「わい、たこ焼き焼いてきたでー!」


あかん、泣きそうや…テニス部最高やんけ。地べたに座りこんだまま泣かないように目に力を込めた。泣きそうなの気づかれたらあかん。


「あれ、謙也泣いとんの?」


ばれた…ナマエが屈んで顔を覗き込むからなんや恥ずかしくなって「泣いとらん!」て大声出しても多分みんな気づいてるんや。かっこつけてもどうにももうならへんから、もう堪忍して泣きながらお礼を言った。15回目の誕生日は人生でいちばん幸せな誕生日になった。


「誕生日プレゼント何がええ?」
「こんなチャンス二度とないんやから、ちゅうでもしてもらったらええんやない?」
「う、うっさいわ!」




忍足謙也誕生日おめでとう!
100317/ タイトル にやり
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -