デイダラ先輩の誕生日を迎えるにあたってさり気なく、平静を装ってプレゼントのリサーチをしなければならなかった。いくらデイダラ先輩が子供っぽい人で、あんまり思慮深い人じゃないと普段私が感じているとしても仮にも犯罪集団暁の一員相手に油断は出来ないだろう。 「先輩お疲れ様でーす」 「うん?ああそうだ!」 「なんですか?」 「明日はオイラの誕生日なんだ、プレゼント待ってるぜ、うん」 自分から催促されたらもう聞く手間省けて良かったなと思うしかなかった。サプライズプランは崩された。デイダラ先輩は満足そうに笑うと暁のマントを翻して歩いていく。金髪のポニーテールがぶんぶんと振り子のように揺れている。だいたい前日に明日誕生日なんだとプレゼントを催促するようなヤツがいるなんてちょっと予想できなかった。いや、前日までだらだら考えていた私はどうなんだというのは、この際別な話なのである。 「という訳で準備が間に合いませんでした…」 「なんだって…!?」 「本当にすみません」 次の日一日中悩んだ挙げ句に結局間に合わなかった私は、夜デイダラ先輩との任務に向かう道中で平謝りした。デイダラ先輩のなんとかという鳥の上で私は頭を下げる。いつもの調子で怒られるかと思ったのにいつまでたっても先輩はうんともすんとも言わない。心配になってゆっくり頭をあげると先輩は前を向いたまま動かない。 「本当にすみません…でも先輩のことですから私からもらわなくても一杯もらったんじゃないですか」 「もらってねーよ、オイラお前にしか誕生日教えてないから」 「え…?」 「お前以外からのプレゼントなんて別に欲しくないしな、うん」 「私そんなにセンス良くないですよ」 「そういう意味じゃなくて、オイラお前が」 バサバサと鳥の羽ばたく音でかき消された先輩の言葉の続きを、唇に触れた感触で思い知らされることになるのだった。 打破する/100505 デイダラ誕生日おめでとう! |