「木ノ葉の忍たちと海に行くんだがお前も来ないか?」

そうテマリさんに誘われた私はよく考えもせずに「行きます!」と即答していた。その時は全くもって忘れていたが私は海に行ったことがない。だから入念な準備や予習が必要だった。資料室に入り浸り海に関する書物を読み漁る毎日が続いた。 私は書物から色々なことを学んだ。どうやらビキニという、おへそを出す水着はセクシーで男受けが良いらしい。

「男ウケかあ、やっぱりここは恥を忍んで…」
「下らないことを言ってないで仕事をしろ」
「我愛羅!じゃなくて…風影さま」
「わざわざ言い直すこともないだろう」
「公私混同は避けようと思いますので」
「だったらその雑誌を隠す方が先じゃないのか」

風影さまは私が持つ雑誌を顎で指しながら言った。なるほど、もっともだ。けど…私は風影さま、我愛羅と海に行くのが楽しみで仕方なかったのだ。我愛羅は楽しみでは無いのだろうか…温度差に少し気分が沈んだ。

「オレだって楽しみなんだから今は書類に集中しろ」

肩を落とした私は聞こえてきた声に驚いて顔を上げた。

「我愛羅も楽しみなの?」
「ああ」
「嬉しい!ねえ今日水着買いに行こうよ」
「そんなものカンクロウにでも買いに行かせればいい」
「嫌だよカンクロウ趣味悪そうだし」
「それもそうだが…」
「それは聞き捨てならねーじゃん」

全身黒に身を包んだカンクロウが勢いよく現れた。我愛羅はまじまじとカンクロウを見つめたあとポツリと呟いた。

「やっぱり頼めそうにないな」
「だよね…」
「お前ら失礼じゃん!もう2人で行ってくればいいじゃん」
「…わかった。行こう」
「やったー!」

我愛羅に飛びついた私を見てカンクロウがひどく傷ついた様子で風影室をあとにした。


ビキニにしろ!




「我愛羅」
「なんだ?」
「これとこれどっちがいいかな?」
「…左だ」

なんやかんやで我愛羅と水着を買いに来た私。この里で一番大きい店の特設された水着コーナーでそれぞれの水着を探す。 我愛羅も割と真剣に選んでいる。

「我愛羅」
「どうした」
「赤と緑どっちがいい?」
「赤にしろ」
「なんで?」
「お前は赤のが似合う。それに」

にゅっと右手に握られた赤いウェットスーツを突き出して我愛羅は続けた。

「オレとお揃いだ」少し口端を持ち上げた我愛羅にドキリと心臓が波打った。


砂漠大葬!


「カンクロウ!」
「どうしたテマリ?」
「私の水着はなんでこんなダサいスクール水着なんだ!」
「だってテマリの腹なんかみたくねーじゃん?」
「口寄せ斬り斬り舞!」



ザップーンと寄せては返す波音を耳で聞く。心地良い潮風を肌で感じる。

「我愛羅」
「なんだ?」
「すごいね海は砂だらけ!」
「…ああ」
「あのさ本で読んだんだけど砂のお城作れる?」
「砂さえあれば何でも出来る」

我愛羅はすっと立ち上がり両手を広げる。途端に砂浜の砂が唸りながら舞い始めた。淡々と砂を操る我愛羅の腕は予想以上に筋肉がついていて私は終始みとれていた。

「出来たぞ」

我愛羅の声でハッと我に帰ればたいそう立派な砂のお城が完成していた。我愛羅の手を引いて中にはいる。

「凄いね我愛羅は。一生二人でここにいたいね」
「いや」

我愛羅の真剣な目によって私の笑顔はピクリと引きつった。冗談だったとはいえきっぱりと言われて胸が痛い。

「砂の城なんかじゃなくて」
「?」
「里が落ち着いたらオレの家で一生暮らせばいい」
「…それってプロポーズ?」
「そういうことだ」
「私風影夫人になるの?」
「そうだな」

プロポーズしたくせにいつもと変わらない調子で続ける我愛羅の耳は彼の綺麗な髪の毛をうすめたように赤かった。


いざ砂のお城へ
title にやり
090721 130806改
三兄弟だいすき!
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