私は早くもバテていた。日焼け止めを塗ったにもかかわらず、ギンギンと照りつける太陽は容赦なく私の肌を焼く。ヒリヒリする肌に限界を感じた私は海の家へと逃げ込んだ。黒くて歯の白さが印象的なイケイケ兄ちゃんからアイスを買う。 そのまま上がり込むと白銀とイチャパラが目に入った。 「カカシ」 「よ!」 「あれ?さっきパラソルの下に居なかった?」 「ん、なんか暑すぎるから」 「だよねー」 カカシの前に腰を下ろしていそいそとアイスの封を切ってぱくり。うーんやっぱりアイス最高!私の救世主!たまらない。 「お前ってほんと美味しそうに食べるね」 「私アイスがあれば生きていける!ひとくち口に入れれば口内に広がる冷たい…」 カカシにイチャパラを語らせたら止まらないだろうけど、同じように私にアイスを語らせたら止まらない。この世にあるアイスというアイスは食べ尽くしたのではないか。こんな感じで我ながら長く喋り過ぎたと思い、目を閉じて、さあ続けてアイスを食べようと右手を持ち上げたら急に重さが消えた。 見ればアイスは消えて「あたり」と印字された棒だけになっていた。私のアイスが消えた。犯人はどう考えたって… 「カカシ!」 「ん?」 バンと勢いよく茶色い年季の入ったテーブルを叩いてカカシの方へと乗り出す。コイツこんな時でもイチャパラ読みやがって、ちくしょう。 「いいじゃない当たりだったんだから」 「よくない!」 「ごめんね?」 「私のアイス返し…」 言い終わらないうちに首に熱を感じグイと引き寄せられると同時に生温い温度とオレンジ味を運んできた。えーちょっ、これって。 「なっなにすんの」 「ごめんね、もう食べちゃったから後味だけだけど」 「そういう意味じゃないのに…」 怒りなんてどこかに蒸発して消えてしまった。せっかく涼みに来たというのに、へらへらと笑う口布なしのカカシがカッコ良すぎてジワリと頬は熱を帯びた。 消えたアイスの行方 title にやり 090720 130727改 リサイクルスペシャル2 |