※高校生設定 「今日の最高気温は35℃になるでしょう」 天気予報というのは清楚で可愛らしいお姉さんが笑顔で恐ろしいことを言うものだ。さん、さんじゅうごって…!砂漠か?爽やかな顔で「熱中症にご注意下さい」なんて言われても、ご注意したってなる時はなるのだ。ちらりと確認した左上のデジタルに私は飛び上がる。遅刻…!?だいたい、天気予報が始まってる時点でなんで気づかなかった…。食べかけのトーストをねじ込んで自転車に飛び乗る。 ふわり、スカートが揺れてこれぞJKってやつ。爽やかな夏風が私の髪の毛を揺らす。 順調にこいで最後の信号、学校の直ぐ前の交差点は青信号が点滅していた。ま、間に合え…!そうスパートをかけるのと前方に黒、金、茶の三色を発見したのは同時だった。そのうちの金が振り返り止まれと言わんばかりに両手を広げた。キキーッとブレーキをきかせて急停止。 「おはよーみんな」 「お前もしかして補習か?」 「あははそんなとこ!」 「うっわあだっせー」 「カッコ悪いってばよ!」 「うっさい!」 「お前らだってそーだろうが」 「も、もしかしてシカマルも?」 IQ200の天才、奈良シカマルがもしかして補習…!? 「いや、オレは違うぜ。てか、そんな期待した目すんなって」 「なんだ違うのか…」 「シカマルが補習なんてヘマするわけねぇってばよ!」 「ナルト、あんたもヘマしたんだから偉そうに言うなし」 「ま、オレら皆バカってことで!」 「え、嬉しくない…」 ・ ・ ・ 「はーあ」 「おい寝るな、起きろよ」 「もう数字とかいいよ…」 シャーペンを放り投げて冷たい机に額をくっつける。視界は暗くなり、もう見飽きた数字の羅列は途端に見えなくなる。突っ伏した私の上からシカマルの声が星屑のように降ってきた。 「めんどくせェけどよ」 「ん?」 「アスマに頼まれたんだからお前の勉強ちゃんとみてやんねーとな」 「なんか、ごめん…」 「いや気にすんな、オレお前のこと好きだし」 「わあ嬉しい!ありがとう」 ひやりと心地良い机の冷たさと、数字を天秤にかけたらやっぱり心地よさが勝ったもんだから私は机に突っ伏したままで答える。ごめんねシカマル!もう少しだけ数学から逃避させて!気にすんなって言ってくれたし甘えていいよね、ん…?オレお前のこと好きだし。お前のこと好きだし。好き…? 「シ、シカマル」 「口パクパクさせんなよ、なんか笑える」 「いまなんて」 「なんか笑える」 「その前」 「口パクパク?」 「もうちょい」 「愛してる」 耐えきれなくなった私はまた勢いよく机に突っ伏した。さっきより言ってることグレードアップしてるし。なんなの。シカマルが「おい、顔上げろよ」とか「そんなに眠いのか?」とか言っているけど、そうじゃなくて恥ずかしいんだって! 私の体温で温くなった机、外でミンミンなくセミ、ギラギラな太陽、最高気温35℃。私の最高気温は38℃くらいかもしれない、とそんなことを思った。 はあとの最高気温 title にやり 090811 130727改 リサイクルスペシャル |