「そう言ってるあんたが幸せにならないでどうするのよ…」
「セレネ?」

リフィルの声がして、はっと顔を上げる。気を利かせてくれたのか、クラトスはそこにはいなかった。少し遠いところ、ロイドたちの姿が見える。私の目の前には心配そうな「先生」の表情をしているリフィルがいて、それが一瞬誰かと被った気がした。(あの頃、私の「先生」をしてくれた、彼女の姿)


「複雑ね、貴方も」
「……何の話かしらね、リフィル」
「貴方とシエルのことよ?」

気付いてた、と思わず舌打ちをしそうになった。ただそれをしたら肯定になるから、しなかったけれど。これだから大人は嫌いだ。そんなことを思って、そういえば彼は今大人?どうなんだろう、なんて思っていた(…私ももう20歳だけれど)

「面白い話が聞けそうだわ…」

何故そこで遺跡モードに入りかけるのかしら。全く普段と変わらないリフィルに笑う。気を遣ってくれているんだか、素なんだか分からない。彼女の場合、後者なんだろうけれど(万が一…ってこともあるのかしら)


「〜っ!!うるさいわね!」

そんな声を上げて、慌ててロイドたちを追いかけた。後ろに苦笑いをしているリフィルがいるのは知っている。

多分、少しだけ顔が赤い
(もしかしたら泣いているのかもしれない)
面白くなんかない
(ただ私が裏切って手を離しただけ)
楽しいこと、あったかもしれないけれど
(それはほとんど覚えていない)
それでも、幸せだったのは間違いない
(本当に、小さな幸せだけれど)
分からないけれど、
(でも全部過去形なんだ)
もう終わったから
(過去形なのが、未だに寂しい)


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