強行でハイマに戻った私たち。すぐさま宿屋に行き、私がレイズデット連発したおかげで意識が戻ったピエトロからとあるモノを受け取り、再び人間牧場へと戻ってきた。ピエトロから受け取ったあるモノで非常口?みたいなところから再び潜入。
「えーっと、牧場の全体図出せばいいのか?」 「シエルすげぇ…」 「前に来たときにメインコンピューターに細工したしセレネが」 「………姉さん…」 「私は悪くないわ」 「…なんかさぁ、それデジャブなんだけど…気のせいか?」 「気のせいよ」
多分気のせいなんかじゃないと思うけれどね。そうは言わずにただ苦笑いしていた。もっとも、あぁ言ったのはわざとだったりするんだけれど。細工っていうか…ハッキング?シエルよりも私の方が確実に機械扱えるから…。まぁシエルも扱えることは扱えるんだけれどね。 人間牧場の全体図を見ながら、前に来たときとシステムが変わってる…なんて落胆。恐らく私たちが侵入したから、ガードシステムを組み替えたんだろうけれど。此処のメインコンピューターからガードロックを開けられるようにしておいたのに…私の苦労は…一体なんだったのかしらね
「俺らが今いるのは此処。で、クヴァルは此処にいるはずなんだけど、ガードシステムを解除しないと行けないんだよ」 「がーど…しすてむ?」
聞き慣れない言葉に、片言になってコレットが復唱した。そんなコレットに苦笑いしているシエルに、リフィルがその全体図を見ながら呟く。
「……ここね。左右の通路の先に2つのスイッチがあるわ」 「せっかくメインコンピューターから解除出来るようにしたのに…」 「そ、そんなことしてたんだ…」
リフィルの言葉を聞いて、思わずぼそりと呟いた言葉を隣にいたジーニアスはご丁寧に拾って聞いていたらしい。だって一々解除しなければいけないとか面倒じゃない。なんて笑うと、呆れたように溜息をつかれた。最も、その面倒なことをしなきゃいけないのが一番面倒なんだけれど、ね。
「じゃーさっそくシステム解除しに行こうぜ!」 「シエル、クヴァルの部屋へ行くまでのルートは洗い出せる?」 「ん?いや、大体覚えてるから大丈夫。これ以上アクセスしてるとまずそうだしな」
そう言って全体図を消した。これ以上アクセスすれば、侵入したのがバレてしまうから。早く行こう、と道も分からないのに、扉を潜ろうとしているロイドはシエルによって首根っこを掴まれていた。あぁ、前は止められる立場だったのになんだか面白くない←
「二手に別れようか」 「えー、バラバラになるの?」 「そちらの方が効率がいいだろうな」
シエルの言葉に納得したように頷くクラトス。クヴァルの部屋に行くまでには稼働しているコンベアをなんとかしなければいけない。そこで手間をとることを考えるとバラバラになった方が効率がいいだろうから。でもロイドと一緒に行動したくはないかもしれない。
「ならコレットが決めなさい。貴方にこの旅の決定権があるのだから」
リフィルに言われたコレットは「ん〜」なんて一瞬悩んだものの、考えるのがめんどうになったのか…分からないけれど、にっこりと笑顔でロイドに向き直った。どうしたー?と呑気にコレットの問い掛けるロイド。そんなロイドに、
「じゃあロイドが決めて!ロイドなら上手く分けてくれると思うから」 「確かに、ロイドは野生のカンと本能で生きてるからね」 「どういう意味だ」
からかったジーニアスをじっと睨んでいたロイド。そんなロイドに対して、ジーニアスは笑っていたけれど。それを見たロイドは呆れたように溜息をついた。私たちを全員見渡してから、
「俺はクヴァルの方に行くぜ!母さんの仇を取りたいしな」 「ロイド、俺もそっちで。道分かるの俺しかいないし」
…シエル、自ら自分を犠牲にするなんて…。ご愁傷様、なんて心の中で私とクラトスがシエルに向かって両手を合わせていたとか。
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