床に倒れたディザイアンを見下ろす。まぁ死んではいないんだけどさ。この世界に来たのは、何かを殺す為じゃないから(…ん?ある意味殺すのか?)まぁディザイアンは譜術で一掃。しばらく動けなかったらしいクヴァルもようやく動き出したし。…コレットのチャクラム、どれだけ威力あるんだよ、とか思いながら。立ち上がったクヴァルは、俺のことを見て驚いていた。それは多分、さっき使った術(譜術な、)のことだろうけど。(あと多分あの腹黒)


「劣悪種の分際で…」
「うんまぁある意味劣悪種だけど、」

レプリカだし。なんて言っても伝わらないだろうなー。まぁいいや。戦う為に残ったわけじゃないし、
そう思いながら、剣を収めた。その行動が気にくわなかったのか知らないけど、クヴァルが魔術を放ってきて慌てて避ける。


「いや、だから戦いに残ったわけじゃないんだってば。ただ"アレ"の居所が知りたいんだよな、俺は」

うんうん、クヴァルの動きが止まって、少しだけ笑った。予想通り。ユリアが回収しろっていうくらいだから、“忘れ物”ってのはかなり重要なものらしい。そしてもう一つ、それが何らかの形で使用されている可能性もある。だとしたら、その辺にいる人たちに聞くよりも、こうやって世界中で悪事?つーかなんか企んでる連中に聞いた方が早い。


「貴様…!まさか、」

まさかってなんだよまさかって。なんて呟きながら、ビンゴーと内心で笑った。潜入した時から嫌な予感はしてたんだけど。ほら、音素って単語が此処から聞えた時。もしかしたら、なんて思っただけなんだけど。にやり、と小さく笑ってローレライの剣を構える。

「その髪、そしてその武器…」

髪、と言われて自分の髪に視線を映した。…っておいいい!?朱色に戻ってんですけどぉぉ!どのタイミングで音素が安定してるんだよローレライ!思ったより早かったな!? ていうか、あれ?クヴァルの奴、いま「その武器」っつわなかった?

あれ?なんでこいつがローレライの鍵のこと知ってんだ?ていうか、なんで俺のこと知ってるんだ?疑問だけが残るんですけど。


次に聞えた言葉に、顔をしかめながら。音素が安定したら使っていいと言われた超振動を発動させた。一瞬にして景色が変わったことに安堵して、歩き出す。どっかにロイドたちも退却してるだろう。


「しかしなぁ…。なんであいつ、俺が“聖なる焔の光”だってわかったんだ?」
まぁ、とりあえずロイドたち探すか。とまた歩き始めた。考え事はあとにしよう。まだわかんないことだらけだ。


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