「しっ!隣の部屋から、声が聞こえる…」

コレットの言葉に我に返った。コレットが見つめている先の部屋、あそこでは、確か……エクスフィアの製造が行われていたはずだ。マズイな、なんて思った時だった。機械音に振り返る。小さな機械音を立てて開いた扉に、武器を取ろうとした手は止まった。


「お前たちは…!」

扉の向こうから現れたのはボータたち、ディザイアンではなくレネゲードだ。その存在を知っているのは、私とシエルだけ…のはず。もしかしたら、クラトスは知っているかもしれないけれど。

「ヤベェっ!こいつらトリエット砂漠で会ったディザイアンだ!!」

ロイドはそう言いながら剣を手に取った。その行動に、レネゲードたちは笑うだけで。そのレネゲードの態度にロイドたちは首を傾げていたりする。「まだ我らをディザイアンだと思っているのか」なんて小さな呟きは私とシエルにしか届かなくて、それに二人で苦笑いしていた。


「しかしボータ様!これは好機です!」
「…来るか?」

レネゲードの1人の言葉にクラトスは剣に手を添えた。私やシエル(何故かコレットも)は武器を抜かずに、事の成り行きを見ているだけにしておく。ボータはクラトスを一度見たあとに、私と何故かシエルまでもを見た。


「……待て。クラトスとセレネがいる。此処は一旦退くぞ」

肩をすくめて、ボータの言葉に小さく笑う。ロイドが首を動かしながら、私たちを不思議そうに交互に見ていた。私としては、クラトスとレネゲードの関係を知りたいのだけれど…簡単に教えてくれそうにはないもね、



「知り合いなのか?」
「さぁな、イセリアとトリエットで顔を合わせただけだが」
「セレネは?」
「私はトリエットで一度」

ジーニアスの言葉に小さく笑う。少し、含みのあった笑みにリフィルが不思議そうに私を見ていたのは分かったけれど。最も、トリエットで2回会っているから…ね。あとはテセアラで一度捕まったか…。
ボータは今度は私を見ながら、問掛けてきた。その理由は分からないけれど

「此処はお互いのために退きましょう」
「そうね、無駄な争いはしたくないわ」

早く行った方がいいんじゃない?と小さく呟いた言葉に、慌てたようにソノバシをあとにして行った。彼らが此処にいた、ということは…目的はエクスフィアか、そう呟いた。ボータたちを急かしたのは、扉の向こうから複数の足音が聞こえたから。今度こそディザイアンでしょうけれど、ね。



「…来るな」
「分かってるわよ」

シエルの言葉に頷く。クラトスは既にいつでも抜けるように、腰にある剣に手をかけていた。その行動にコレットが首を傾げていて、扉が開いた、その瞬間にシエルがロイドを突き飛ばした。魔術が襲いかかってくるのに気付かなかったみたいで…。見事床に倒れていたり。

「な、なにすんだよっ」
「死ぬ気か?」
「クラトスの言う通りだなーロイド」
「う…すみません…」

なんてやりとりを3人がしている間に、ディザイアンが何人か現れて。ぞろぞろと集まって来ている間にロイドが体勢を立て直したみたいね。


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