塔を登ってる途中でジーニアスたちと合流出来た。最初から二つに分かれないと解けないような仕組みがあったらしい。そんなわけで、最上階で封印の守護者と対峙している最中だ。ちなみにセレネはいない。多分…下でサボってる。


「…いや、だからさ。俺は戦わないって言ってるだろ。聞いてるか、ロイド」
「だってシエル強いだろ?」

そんで、強いからを理由にぐいぐいと背中を押されていた。ロイドに。前方では既に戦いが行われてるってのに、ずいぶん呑気だな。俺もロイドもだけど。前方で必死に押さえているクラトスの姿が目に入って、思わずため息をつきたくなった。

「いいけど、いつまで経ってもロイドが強くなれないだろ」

経験が一番大事だぞ?と言えば、ようやく諦めたのか、ちょっとむっとして二本の剣を手に持って、クラトスの方へ走りだした。よかった。余計な手出しするなってセレネに言われてんだよなー。下手に援護するのも大変だし、いっそ傍観決め込んだ方がいいんじゃないかって思ってる。


…本当はそれだけだと非常につまらないんだけど。戦いが好きなわけじゃないのは、確かにそう。でもだからって見ているだけっているのは…。


「…コレット、なんでさっきからピコハンばかりなんだよ」
「え?」

少し後方にいるコレットに目をやれば、今もピコハンを使ったあとなのか、片手を上げたままの恰好で俺の方を見た。ぶっちゃけ、ピコハンは効かないと思う。

「だって、リフィル先生が前に出ちゃダメって言うんだもん」

だからってピコハンはないだろ。コレットが前に出て、怪我でもしたら大変だってことなんだろうけど。確かに、コレットの武器はチャクラムだし、前に出る必要はない。ていうかこの位置からでも十分チャクラム投げれると思うんだけど。なんて俺の視線に気付いたのか、コレットがちょっと苦笑いしていた。


「えっとね、今、武器投げるとロイドに当たりそうで…」
「…あぁ、確かに」

前を見れば、正面からロイドが斬りこんで行ってるのが見える。またリフィルの回復が追いつかなくなっているような気がしなくもないが。あれ、失敗したかな。治癒術も習ってくればよかった、と正直思った。



「…シエル、もう、早く終わらそう…」
「そうだな。クラトスのためにも」

いい加減ロイドのフォローで疲れてるのか、最初より動きが鈍いクラトスを見て、ジーニアスに返した。そろっと敵さんも体力も落ちてきてるし、まぁいいだろう。ローレライの剣を片手に持って、肩を回す。後ろでジーニアスが安心したような気がしなくもない。

「行くぞ、クラトス退け!!双牙斬」

下から突き上げるように技を出すと同時にクラトスが下がった。ちゃんと見ていたのか、リフィルがクラトスに治癒術をかけているのが見えた。下から上に斬りあげた。まだ体力のあるロイドがそれを見て側面に回る。

「閃光墜刃牙」

ロイドの虎破斬の声と同時に技を繰り出して、ちょうど後ろからの詠唱が完成しそうなのを見て一歩下がった。そのタイミングで、ジーニアスが魔術を放った。

「焔の御掌、災を灰塵となせ…エクスプロード!!」


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