「ここはリフィルに任せましょうか…」

どこか諦めたようなセレネの言葉に苦笑いしてしまった。なんか、ごめん…みんなの方に諦めて振り返る。あ、と声をあげたセレネにロイドたちは不思議そうな表情で。

ロイドのやつ、危険察知能力、身につけさせた方がいいかもしれない。はぁ、とため息をつきながらそのロイドに指摘してやった。クラトスも近いし、大丈夫だろうと思ったからだけど。

「ロイド、魔物」
「へ?あぁ!ホントだ!!」

後ろに迫っていた魔物に気付かなかったらしい。ロイドが振り返った瞬間にはクラトスが攻撃していたが。…クラトスの奴さぁ、ロイドにどんな指導してんだよ。と視線を送れば、ぎこちなく視線をそらされた。


「あぁ、私たちも解説しているからよろしく」
「えぇ?!手伝ってよ、シエル!」
「あ、うん…ごめんジーニアス…」


悪いがセレネには逆らえない。ジーニアスから視線をそらせば、セレネが隣で笑ってる。どういうつもりなんだろ。此処に入ってから、俺もセレネも必要最低限戦いをしていない。ロイドたちに力をつけて欲しいからだろうけど、詳しくは聞いてない。…最近、セレネがジェイドに似てきた気がする。

リフィルが内容を暗記し終わるのと、ロイドたちが魔物を倒し終えたのはほぼ同時だった。気が済んだのか、今度はリフィルも少し大人しいみたいだから掴む必要はないみたいで、いまだ遺跡モードではあるけれど、そこまで酷くはなかった。



そのまま奥へと進んでいくと、セレネが立ち止った。同じようにして俺も立ち止ると、それに気付いたらしいロイドがソーサラーリングを壁に向けた状態で立ち止っていた。首を傾げているジーニアスたちに向かって、セレネは笑顔を向けてあっけらかんと言い放った。

「じゃあ行ってらっしゃい?」
「え?姉さんたちも行くんだろ?」


…俺が一番聞きたいんだけど、何故か封印の間を目の前にして、俺のコートの裾を引っ張るセレネ。そしてロイドたちに向かって手を降っている。不思議そうな表情をするロイドたちとは対照的に、どこか納得したようなクラトスがいた。あ、ひょっとして…此処に入る前に俺たちのことをつけてた奴のことか?此処に入ってからつけられてる感じはしないんだけど…


「セレネもシエルも来ないの?」
「宝箱回収してくるわ」
「…あのさぁセレネ。それは、」

コレットの質問にあっさり笑顔で返したセレネ。いくらなんでもその理由は、と言い欠けた瞬間に何故かロイドが

「あ、宝箱忘れてた!」

…いや、なんで納得するんだよロイド。可笑しいだろ…不審に思えよ少しは。ちょ、端っこでクラトスがダメージ受けてるけど(なんでか)


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