高くそびえる塔を見上げて、軽くため息をついた。もはや止められない、とは思っていたけれど。なんて思いながら今日のお昼に食べたサンドウィッチを思い出して、一つ呆れた。

「………それで、何故今日行くのかしら」
「早い方がいいだろ!」

幾ら私でも疲れたわよ。お人好しな彼らはやる気満々でマナの守護塔へと向かった。仕方なく私も行くことにしたのだけれど。どいつもこいつもお人好しなんだから、とため息をついた。ハイマに着いたのがお昼頃で、そこからまた出掛けたのだから当然日は傾き始めていて、空はオレンジ色に染まり始めていた。


「素晴らしい!!これがマナの塔か!」

もう一つ、止められなかったのはリフィルまでやる気満々だったからで。もちろんリフィルはポルトマンの治癒術が気になっていただけだろうけれど。塔の前を行ったり来たりしているリフィルに、ジーニアスが呆れていた。

「ねぇ、此処が封印の可能性はないのかな?」

ふと思い立ったようなジーニアスの言葉に、つられるようにして塔を見る。コレットも少しばかり期待を込めて辺りを見回すが、神託の石版がないから違うみたい、と残念そうに返していた。天使も封印の場所くらい教えてくれればいいのに、とロイドがぼやいていた。コレット曰く、それも試練の一つだということで。そんな話を思い出して、少し呆れた。
ふと、塔を見たら何故かクラトスが扉の前に立っていた。珍しい、と思ったら鍵が開いているか確認していただけみたい。結局、鍵は開いていなかったけれど。


「じゃーやっぱり、封印とは関係ねぇのかな」
「…中に神託の石板があるのかもしれないわね」

ロイドのため息に一つの可能性を口にして。最も、中に入れなければ意味はないのだけれど。一つの可能性でしかないのに、何故か今の話に妙に納得していたジーニアスとコレットがいた。


「此処の管理はルインだったな。ルインで鍵を借りれば中に入れるぞ」

何故か遺跡モードのリフィルに呆れてため息。せっかくハイマという町に久々には入れたというのに、この時間ではまた野宿になるのだろう。ルインまでどのくらいかかるかにもよるけれど。

「中に入れないのでは此処にいても仕方がないな」
「…また、歩くのね……」

そう呟いた私の横をコレットとロイドが駆け抜けて行った。あぁ、やっぱりルインまで歩くのね。子供は元気ね…ジーニアスはまだ私の隣にいるけれど。

「いいわね、子供は元気で」
「セレネはまだ19ではなくて?」
「…………はぁ、」

リフィルの言葉にため息をついた。いくら私でも、あれだけ歩いた上にあんなにハイテンションにはなれないわよ。そんな私を見たのか、クラトスがポツリと呟いた。

「ルインなら此処から近い」
「そうね。大陸を徒歩で横断したことを思えば何てない距離ね(多分)」
「……姉さん…」

嫌味たっぷり(でもないが)にリフィルに向かって言った。ジーニアスも海路がよかったのか、リフィルを見ていた。

「な、何をしているの。早く行くわよ!」

そんな視線から逃げるかのように 、さっさと早足でロイドとコレットの方へ向かったリフィル。思わず、ジーニアスと顔を合わせ苦笑いしながら、先へ進んだ3人を追った。


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