「くそっ!!やらせるか!コレットは、俺たちの仲間だ!」


天に導くつもり。それを聞いたロイドは剣を持って、シエルの横を抜けようとした。それを、止める為に足を踏み出そうとした瞬間、何かが切れる音がした。


「っ…!」

熱い。手に持っていた音叉が異常なまでに熱を帯びていた。けれど、離せない。音叉が熱いのか、自分が熱を持っているのか、わからなくてなるくらいだった。

「はっ…な、に…?これ…」
「セレネ?!」
「姉さん!!」

傾く身体はシエルに受け止められた。それを心配したロイドも駆け寄ってきた。リフィルが治癒をかけようとするのも分かった、が。


「駄目だリフィル!来るなっ…!」

シエルがそう言って、怪訝そうにながら足を止めるリフィル。その横にいたジーニアスも、だ。熱かったはずの何かは急激に冷えてきた。シエルに触れてからだ。

(……ひょっとして、今…第七音素を、制御しきれなかった…?)
音叉は第七音素を主とした譜術などの媒介だ。それを制御しきれない、なんてことはまずない。もし起こったとすれば、第七音素で出来ている彼が無意識下でコンタミネーション現象で、溢れた第七音素を吸収したことになる。思考した動かなかった結果だ。


「輝く御名の元、地を這う汚れし魂に、裁きの光を雨と降らせん、安息に眠れ、罪深き者よ…」

詠唱が聞こえた。シエルが、来るなと叫んだ理由。私が動ければ、なんて仮定は無意味だ。私を片手に抱いたまま、シエルはロイドを突き飛ばした。その瞬間に柱が勢いで折れてしまう。

「ジャッジメント」
「間に合えっ…!」

光が降り注ぐ。私が普段使う譜歌のジャッジメントと同じものだった。それに疑問を抱きながら、他人事のようにその光景を見ていた。しばらく、光が止み、振り返ればそこには倒れているロイドたちがいたが、命に別状はないみたいで、安堵した。


「立てる…よな」
「ありがとう」

苦笑いをされながら立ち上がる。先程、不完全ながらに放った技は守護方陣、だ。多少怪我を負っているシエルにファーストエイドを掛けてから立ち上がる。

|
[戻る]