剣の交じる音が響く。高い金属音が響き渡るのを、ため息を吐きたくなるような気持ちで聞いていた。どこか、他人事だ。実際他人事なんだけど。久々にこんなに強い奴と剣を交えた気がする。今まではロイドたちに任せていた。それは、あいつらが強くなりたいと願ったから。剣を握らないことが本当の願いだったが。


「なに迷ってんだよ」

思わず呟いた。クラトスは迷ってる。その剣筋がそれを示している。あの頃の俺みたいだ。一番最初、真剣を握った時の俺みたく。戦うべきか否か、迷っている。クラトスの剣を弾き返し、睨み付ける。(ただでさえ色々と苛々してるんだ)

「何を迷ってんだよ」
「…シエル、お前は何を焦っている」
「あー焦るよ普通!」


早くしないと手遅れになるかもしれないしなー誰のせいだよなんでこんな俺が苦労してるんだぁぁぁあぁ!!
と、巻くし立ててみたがクラトスは少し引いてるだけだった。何も知らないのか、とぼけているのか。分からないけど、さっさとセレネに追いつかないと、殺されそうだ…。


「さ、手ぇ抜くなよ?」

笑えば、少しばかり殺気が増した。久しぶりすぎるこの緊張感。出来れば、二度と感じたくはなかった。


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