光が徐々に収束した。その音に、少しだけ安心した。これだけの人数を移動させるのは初めてだったから、少し不安はあったけれど、上手く行ったみたいでよかったわ。

「うわ!!すげぇ!街に着いてるし!」

ぱっと目を開けたロイドが驚いたように声を開ける。それに続くように、みんなが目を開け始めた。街中ではないにしても、目の前にはトリエットの町が見えることは確かだ。まるで手品でも見たあとの子供のようにはしゃぎ回るロイドたちに、少し呆れながら音叉で砂漠の砂を叩いた。


「ふ、ふふふ…別次元の魔術…非常に興味深い…」
「リフィルー、そうは言っても原理は教えられないわよー」

後ろで怪しい笑みを浮かべているリフィルに釘を差すように言ってみたが、聞えていないだろう。そもそも超振動は第七音素の振動で起こるもの。マナの性質がいくら音素と似ているとは言っても、第七音素のような性質は持っていないだろう。そもそも治癒術の系統が水な時点で、マナと音素の性質が全く一緒ではないことは分かっている。
だからと言って、第七音素のような性質が仮にあって、それを利用されても困るので公言は出来ない、のだけれど。そのことをリフィルに言ったところで、好奇心の方が勝っているだろうから意味ないだろうけれど。


その様子に気付いて、軽くため息をついた。とりあえず町に行こう、と声をかけようとしたところで、見慣れない人がいることに気付いてそちらに顔を向ける。ふっと視線が交わった。

「あ!そうだ。姉さん、こいつコレットの護衛なんだ!クラトスって言ってすげー強いんだぜ!」

何がそんなに自慢なのか、ロイドが思い出したようにそのクラトスさんを差して私にそう言ってきた。当然と言うべきか、そのクラトスはロイドの発言に色々と戸惑っているようで。ロイドと私を交互に見たあと、クラトスは戸惑うように言葉を口にした。

「……姉弟なのか?」
「違うわ。ロイドが勝手に…。私はセレネよ。よろしく」

そう言って小さく笑えば、どこか納得したように頷いていたのが見えた。一瞬それに違和感を覚えたけれど、ふと後ろから回ったらしいコレットが映った。その笑顔に、これから先の発言がなんとなく分かってしまったが。


「ね、セレネも行こうよ!」

ロイドとジーニアスも世界再生に加わる、とリフィルと話しているのが聞えた。2人は最初から世界再生の旅には加わっていなかったみたいで。イセリアでの話を聞いて、少しだけ眉をしかめていた時だった。


「そうね、せっかくだから一緒に来てもらえると助かるわ」
「あぁ、まぁこのメンバーを見れば…」

軽くため息をついて、ロイドとコレット、それからジーニアスを見渡してため息をついた。苦笑いのリフィルと呆れたようなクラトスを見て、一つ笑えばロイドたちは不思議そうに首を傾げていた。お子様ばかり、と言いたかったのは彼らには伝わらなかったらしい。

「ご一緒しようかしら」
「やった!よかったね、コレット!」
「うん!ありがとう、セレネ」
「へへ、頼りにしてるぜ姉さん!」

嬉しそうに駆け寄ってきたお子様たちにあちらこちらから絡まれ、また嫌そうにため息をつく羽目になった。

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