Novel
12
初めて会ったのは高1の時。勿論俺はバレー部に入部していた。その年のGW合宿の時、音駒高校っていうとこと一緒に合宿をした。
そこで初めて黒尾と会った。めっちゃ背高くてびびった!って言っても俺とそんな変んねぇんだけど。
なんか性格的にも合って、合宿中はずっと話してた。専らバレーの話とかだけど。あ、後一緒にバレーしてる幼馴染みの話とか。でも、その時にバレー以外の話をする。もう一人幼馴染みが居て同い年。バレーしてるのか聞くとしていない。俺の興味はなくなった。
「まぁ聞けって」
「バレーしてねぇなら興味ねぇもん!」
「お前だってあいつのプレーみたらそんな事もう言えなくなるって」
「んー…」
黒尾がここまで言う。ちょっと、気になった。ちょっとだけな!
「…何してんの?」
「お、興味持った?」
「持ってねぇ!」
「ははっ。あー、と。何してるのかだっけ。バスケだよ」
「バスケ?」
同じ球技。けど、バスケは床にボールがついても良いけど、バレーは付いてはいけない。落とさず繋げて相手コートに落とすのがバレーだ。
「そっ。小学校からあいつはバスケ一筋。で、中学でもバスケして、アシスト王とスティール王っていう賞貰ってた」
「アシスト王?スティール王?」
「えーっと、アシスト王って言うのは補助みたいな?ゴールの手助けする的な」
「おー、なるほど!」
「んで、スティール王っつーのは、えー…なんだっけな…」
「覚えてるんじゃなかったのかよー」
「待て、今思い出す。えー……あ!思い出した!ボールカットすることだ!」
「相手の持ってるボールをバシッて?」
「そうそう。それ。その2つの賞貰ってた。なかなか貰えねぇよ?あんな賞。そんで…」
そっからずーっと、その幼馴染みの話。黒尾の顔は自分のことみたいに嬉しそうで、楽しそうに話してた。いつもの俺だったら飽きて、もういい!バレーする!ってなんのに、その時はならなかった。なんでだろう。
合宿が終わって、黒尾と連絡先を交換して別れた。また俺はバレー三昧。毎日バレー。だから、あいつの幼馴染みなんて忘れてた。
「ぅあー、眠い〜」
ベッドに近付いてバタンと倒れる。すると、ブーとなる携帯。寝転んだまま開いて見ると、メールだ。黒尾から。
「来週の日曜暇?来週…。んー!来週?部活あったっけな?」
ベッドに胡座をかいてうーんと頭を捻る。ぼんやーりと今日の部活終わりに先輩が話していた内容を思い出す。
「来週土曜日から部活休みだからな!1週間後から中間だから練習はなし!」
「…ねぇな!よし。な、い!っと」
その数分後、またブーブーと鳴る。
「バスケの試合見に行かないか?…バスケ?バレーじゃなくて?」
な、ん、で?と送る。するとすぐに返ってくる。
「前に話してた幼馴染みの試合…。ん?」
そんな話ししたっけな。すると手の中にあった携帯が震える。え!俺まだ返信してねぇのに!
「あ、電話だ」
「はーい」
『メール面倒だから電話した。なぁ、行かね?』
「でもバスケだろー?バレーじゃねぇしなぁ…」
『おま…、前と同じような返答しやがって…。話した幼馴染み!覚えてねぇの?』
「………」
『………。覚えてねぇな。アシスト王とスティール王の賞取ったっていう…「あーー!!」っうるせぇよ!!なんだ!!』
「思い出した!!幼馴染み!!」
『それかよ!!んで、行く?行かねぇ?』
ちょっと悩む。バレーじゃない。でも、ちょっと気になる。ちょっとな、ちょっと。
「むー…」
『や、無理にとは言わねぇからそんな悩まなくても…』
「んーー!!…行く」
『お、マジ?んじゃあ、来週日曜日朝9時に音駒高校な』
「おー!分かった!」
『じゃまたな。おやすみ』
「おやすみー」
切れた携帯画面を見て、ポイッとベッドに放る。その横に自分も横になる。少しだけ来週日曜日を楽しみにしている自分がいた。