Novel
06

待ってましたお昼ご飯。


「愁、今日弁当じゃねぇの?」

「昨日鍋だったから入れるもん何もなかった」

「宮野って偉いよな。弁当自分で用意してるんだろ?」

「いや、残りもん詰めてるだけだから作ったって言わねぇよ」

「それでも黒尾見てみ。こいついっつもパン」

「仕方ねぇだろ。母さん作ってくんねぇんだからさ」

「たまには宮野みたいにしてみ?」

「嫌だ、面倒」




「宮野ー!」


クラスメイトに呼ばれてそちらを向く。


「なに?」

「後輩、呼んでんぜ」

「そっか、サンキュ」

「おー」



夜久は弁当、黒尾はパンの封を開けているのを見て、先に食べてて良いと言って廊下に向かう。




「んー…。あ、お前か?」

「は、はい!」

「何?入部希望者?」

「1年3組の雪森敦です!」

「ポジションは?」

「中学ではセンターしてました!」

「がたい良いもんな。肩もしっかりしてるし」

「宮野先輩って、もしかして黒烏ですか…!?」

「黒烏?」



なんだそれ。烏?俺人間なんだけど。


「そうだぜ。宮野は、元鷹浜中学・現音駒高校の頭脳派プレイヤー黒烏」

「急に出てくんな、行平」

「いやー、会話が聞こえたもんでついね」


「やっぱり!!」

「ん?」

「お、俺、小学生の時に宮野先輩の出てる試合見たんです!IT戦決勝でのブザービート!!素早いインターセプト!!相手に悟らせないノールックパス!!」

「!?」

「あれ見て俺宮野 先輩みたいな選手になりたいって思ったんです!!」

「おーおー、熱狂的なファンだね」


嬉々と、しかしどこか高揚したように語る。多分、4年前のITのことを言っているんだろう。1年でまさかのレギュラー入りをさせて貰ったのはよく覚えている。


「ポジションは違うんですが、でも、目標は宮野先輩です!先輩と同じコートに立ちたいです!だから俺の入部許可してください!お願いします!!」


ガバリと頭を下げられる。嫌々…


「…元より断る理由なんてないけど」

「え!?」


首の後ろに手を当て話す。雪森は下げてた頭を今度は勢いよく上げた。頭そんなに上下させて大丈夫?


「入部歓迎。っつっても、今ここに入部届け無いからまた放課後体育館来てもらっていい?」

「!はい!分かりました!では、失礼します!!」



頭を90度下げて、そして疾走していく。元気な一年だ。


「お前目当ての入部希望者、結構居るかもな。間近で黒烏のプレー見れんだから」

「なあ、その黒烏って何?」

「え!知らねぇの?」

「知らねぇ」

「お前、中学んときユニフォーム黒だっただろ?」

「あぁ」

「んで、コート内をまるで上から見てる様なパスにカット、ドリブル。まるで高く飛ぶ鳥の様に放たれるシュート。相手の隙間を縫っての完璧な指揮。そこからの異名だよ」

「…大袈裟だろ」

「何を言いますか、宮野くん。俺だってお前に感化されてんのによ」

「マジか。初耳だわ」

「マジだ。…お、後10分で昼休み終わんじゃん!昼飯食ってねぇ!」

「…!あ!俺も!」

「じゃ、また部活で!」

「おー」


行平と別れて自分の席に向かう。鉄と夜久はもう食べ終わってて、二人とも買ってただろうパックジュースを飲んでる。


「おかえり」

「ただいま。飯飯」

「黒烏は人気だな」

「…鉄、お前知ってたの?」

「おー。有名だぜ?月バリの横にいつも売ってる月バスに載ってるし」

「…えー、俺知らねぇよ…」

「ははっ。宮野あんまそういうの興味ねぇもんな」

「え、夜久も知ってんの?」

「知ってる知ってる!初めてお前に会ったとき、こいつが噂の黒烏か!って思ったもん」

「バスケとバレーじゃ同じ球技でも興味無かったら知らないもんじゃ無いの?」

「興味なくても興味引く様なプレーするんだよ、お前は」

「ふーん」


そうなんか、そんなもんなんか。と心の中で呟いた。


「…まぁ」

「「?」」

「俺もバレーしてる2人見んのも好きだけどな。ブロックしてる鉄とか、レシーブしてる夜久とか。2人試合のときかっけーよ」

「「……」」

「…お、このパンうめぇ。何ジャム?」

「…デレた!!」

「?鉄、なに」

「っくそ、天然か…!」

「夜久どしたよ」

「「(バスケしてるお前も超かっけーよ…)」」

「?」

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