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紅南国へ帰ってきたその日、もう夕方だが睡蓮はあるところへ向かおうとしていた。


美「あれ?睡蓮どこ行くの?」

「美朱様。久しぶりに家族に会いに行こうと思いまして」

美「へぇ!そっか〜そうだよね!久々に紅南国に帰ってきたしね!」

「はい。寂しい思いをさせていると思いまして」

美「家族との時間楽しんできて!」

「ありがとうございます。では、失礼致します」



一礼をし、睡蓮は宮殿を出た。家に帰る途中、都に寄り、買い物をしていく。買いたい物を買い終わると早速家へと帰っていった。




「…何ヶ月ぶりかしら。ずっと一人にさせて、申し訳なかったわね…」


家に着き、自分の実家なのに少し緊張する。扉に手を当て開く。
扉が開く音に気付いたのか、中の者がこちらにやってくる。




「はーい!どちらさま……姉上…」

「…苞明(ほうめい)、ただいま」

「…姉上…、姉上なの…?」

「えぇ、そうよ。ずっと一人にしてごめんなさい」

「うぅ…っ、姉上!!」



走り寄って抱き着いてくる苞明を睡蓮は優しく抱きしめた。涙を流す苞明の頭を撫でてあげる。



「ごめんね…、ごめんね、苞明。寂しかったでしょう…。なかなか帰ってこれなくてごめんなさい」

「ううん…っ。姉上が頑張ってるって知ってたから、大丈夫…!それに、呂候兄さんがよく僕のところに来てくれるから、大丈夫だよ…っ」

「呂候さんが…。そう、後でお礼言いに行かなきゃね。苞明は元気に過ごしていた?病気なんてしてない?」

「うん!元気だよ!病気もしてない!」


苞明は顔を上げて笑顔でそう答えた。それに睡蓮は安心したように笑った。




「良かった。姉さん安心したわ」

「今日は柳娟兄さんは居ないの?」

「あら、連れてきた方が良かった?」

「んー…ちょっと会いたかった…かな」

「ふふ、なら今から会いに行きましょうか。きっと宮殿でゆっくりしてるはずよ」

「え、でもいいの?疲れてるんじゃ…」

「苞明が会いたいって言ってたって言えば柳宿も喜んでくれるわ」

「柳宿?」

「あぁ、七星名よ。柳娟は柳宿というの」

「そうなんだ…。じゃあ僕も柳宿兄さんって呼んだほうがいい?」

「んー…別に柳娟兄さん、で良いんじゃないかしら」

「そっか!じゃあ今まで通り呼ぶね!」

「えぇ、そうしてあげて。さぁ、じゃあ行きましょうか」

「うん!」




家に鍵をして、苞明と睡蓮は手を繋いで宮殿へと向かっていった。
門番には家族であることを話し入れてもらった。




「んー…部屋にいるかしらね」

「…僕、宮殿の中初めて入った…」


少し緊張している様子の苞明。その姿に気付いて空いている手で頭を撫でてあげる。




「そんなに緊張しなくて平気よ。皇帝陛下も他の人もとても心優しい人たちばかりだから」

「そうなの?」

「えぇ」







「さて、柳宿の部屋に着いたわ」

「大きな扉〜…」




睡蓮は柳宿の部屋をノックする。部屋の中にやはり居たのか、顔を出してくれる。



「はーい。て、あら、睡蓮じゃない。どうしたの?家に帰ったんじゃ…」

「帰ったんだけどね、苞明が貴方に会いたいって言うから戻って来ちゃったのよ」

「え、苞明?苞明来てるの?どこ?」

「ほら、出てらっしゃい」



久々に柳宿に会うため恥ずかしがって睡蓮の後ろに隠れていたのだ。そのことに気付いた柳宿は睡蓮の後ろに隠れている苞明を見付ける。




「あーら!苞明じゃない!久しぶりね!大きくなってー!」


脇の下に手を入れて持ち上げる。柳宿にしてみれば苞明を持ち上げることなど軽いものだ。




「わ!わ!りゅ、柳娟兄さん!降ろして降ろしてー!」

「あははっ、変わんないわねあんた。でもちょっと重たくなった?そりゃ成長してるもんね〜」

「柳娟兄さんも変わらないね!相変わらずすっごく綺麗だよ!」

「…あんたそれあたしや睡蓮には言っていいけど他の人にホイホイ言っちゃダメよ?」

「え、なんで?」

「なんでって、誤解されちゃうじゃない」

「誤解?なんで?」

「ふふ。柳宿、苞明にはまだ早かったかもしれないわね」

「そうみたいねぇ」



よいしょっと床に苞明を降ろしてあげる。


「苞明は今幾つになったんだっけ?」

「8歳だよ」

「あ、そっか。あたし達と丁度10歳離れてたんだったわね」

「早いわよね。もう8歳よ」

「本当ねぇ。あたし達も年取るわけよ」

「いやね、柳宿ったら。年寄りみたいよ」



ふふっと笑う睡蓮に柳宿は笑いかける。2人の様子を見ていた苞明は首を傾げる。



「うーん…」

「ん?どうしたの?」

「何悩んでの」

「柳娟兄さんと姉上、なんか変わった?」

「「え?」」


苞明の言葉に柳宿も睡蓮も思わず声を合わせてしまう。




「んー…なんだろう…。前より距離が近くなったような…」



その言葉に二人は顔を見合わす。そして小さく笑った。



「凄いわね、苞明」

「まさか苞明にまで分かっちゃうとは思わなかったわ」

「え、」

「あたしと睡蓮ね、恋人同士になったのよ」

「え…」

「言うつもりだったけど、言う前に気付いちゃうんだもん、貴方」

「…えええええええ!!」




叫ぶ苞明の声が宮殿に響き、他の七星士と美朱も声を聞きつけやってくる。




「な、なんやなんや!なんかあったんか!」

「どうしたのだ。急に叫び声が聞こえたのだ!」

「何事だ!」

「敵襲か!?」

「僕の笛で追い払いますよ!」

「何!?なんかあったの!?」



両サイドからみんなが出てきて苞明は目を回し、柳宿と睡蓮は苦笑いである。



「ごめんなさい、何もないのよ」

「この子がちょーっと叫んじゃっただけで」

「この子?」




美朱が首を傾げる。折角だから紹介しようと睡蓮は未だ目を回している苞明に話しかける。


「苞明、苞明、大丈夫?」

「だ、大丈夫だよ…姉上。ちょっと、ビックリしちゃった…」

「「「「姉上?」」」」

「紹介するわね。苞明、こちらが朱雀の巫女である美朱様よ」

「初めまして!夕城美朱です!」

「で、こちらが朱雀七星士の1人、翼宿」

「翼宿や!よろしゅうな」

「こちらが井宿」

「初めましてなのだ、井宿なのだ!」

「こちらが軫宿」

「軫宿だ。よろしく」

「こちらが張宿」

「初めまして、張宿です」

「そしてこちらが朱雀七星士でありこの国の皇帝陛下であられる星宿様よ」

「皇帝陛下であり、朱雀七星士の1人、星宿だ。よろしく頼む」

「で、こちらが私の弟の苞明です。さぁ、苞明ご挨拶して」





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