睡蓮は苞明の両肩に手を置く。
「は、初めまして!姉上の弟の苞明と言います!」
苞明は頭をガバッと下げる。それに星宿は笑う。
「そう固くならずとも良い。睡蓮の弟か。言われてみれば似ているな」
「目の当たりとか似とるな」
「本当だー!目の色とか一緒だね!」
「そりゃ睡蓮と苞明は姉弟だもの」
自分より大きな人達に囲まれる苞明は再び目を回す。
「だ。苞明くんが目を回しているのだ」
「これだけの人数に囲まれたからだろう」
「慣れてないと目も回してしまいますよね」
「あら、また目回しちゃったの?」
「まぁこんな人数に囲まれることなんて普段ないから仕方ないっちゃ仕方ないわねぇ」
目を回しながらも苞明は睡蓮と柳宿の手を離さない。
「んー、なんかそう見ると、柳宿と睡蓮と苞明くん親子みたいだね!」
「本当ですね!」
「親子のようだ」
「それやったらでっかい子供やな〜」
「なのだ。でも、美朱ちゃんの言う通りそう見えるのだ」
「いつかは柳宿と睡蓮の間にこのような子が産まれるのだろうな」
柳宿と睡蓮と苞明は顔を合わせると、柳宿・睡蓮は顔を赤らめるが苞明は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「僕、柳娟兄さんと姉上が結婚するの楽しみにしてます!」
「こ、こら!苞明!//」
「何言ってるの、苞明!//」
「え、2人とも結婚しないの?」
「「う…っ」」
言葉が出ない2人にみんなは笑った。
「一本取られたな、柳宿、睡蓮」
「よして下さいよ、星宿様〜!」
「全くもう、この子ったら…//」
「えへへ」
そこで美朱がピコンと頭を閃かせる。
「そーだ!今日は苞明くん泊まっていきなよ!」
「え…?」
「久々に睡蓮に会えたんだもん!もっと一緒にいたいでしょ?」
「そ、それは…はい…。でも、迷惑かけちゃ…」
「そのことなら気にすることはない。泊まっていくといいさ」
「良いのですか、陛下?」
「構わないさ。家族との時間は大切にするべきだ」
「ありがとうございます。よかったね、苞明」
「うん!ありがとうございます、星宿様!」
「良いのだよ」
苞明の頭を撫でてやる星宿。それを嬉しく受け取る苞明。
「ねぇ、姉上」
「なぁに?」
「…柳娟兄さんも一緒じゃダメ?」
「え」
思わず顔が固まる睡蓮。苞明の隣に立っていた柳宿も固まる。
「…えっと、それはー…」
「ダメ?」
「えっと…」
「…ダメ?」
弟の押しにだんだん負けていく睡蓮。そんな睡蓮に諦めろと肩をポンと叩く柳宿。
「たまの苞明の我が儘聞いてあげましょ」
「…そうね。滅多に我が儘言わないんだから聞いてあげなきゃね。今日は3人で寝ましょう、苞明」
「わーい!ありがとう!姉上、柳娟兄さん!」
喜ぶ苞明を見て、柳宿と睡蓮は笑うのだった。
その夜、3人は川の字になって仲良く寝るのであった。