その力、いつの日か来る異世界の巫女、そして七星士の為に。

護り、与え、戦うが宿命。

世に1人としか居ない、光の守護・一等星よ。

我が力、その身に宿そう。













「朱雀の巫女が?」

康「そうなのよ。どうにも本当に来たらしいわよ」

「まさか、本当だったなんて…」



康琳と睡蓮は市中を歩きながら話して
いた。
康琳は綺麗な服を、睡蓮は歩き易く戦いに向くチャイナドレスを着ていた。
2人は顔が整っているため、市中の人々は2人を見れば顔を赤らめた。






「じゃあ、私を誘ったのはその朱雀の巫女を見に行くため?」

康「そうよ!どんな子なのか気にならない?」

「確かに、気になるけれど…」

康「それに、もしその子が朱雀の巫女なら朱雀七星士である私と光の守護・一等星である睡蓮はその子を守らなきゃいけないのよ?」

「そうね…」

康「睡蓮は自分の使命として、朱雀の巫女に仕えるの?」

「んー…、まだ分からない。でも、もし康琳が朱雀の巫女を認めて護るなら、私も朱雀の巫女を護る」

康「睡蓮…」

「私は康琳について行くわ」

康「さすが睡蓮!」






歩いていけばざわざわとして、人集りがあった。
2人は顔を見合わせ近くにいた人に何があったのか尋ねる。
どうにも瓦礫の下に人が埋まってしまったようだ。
しかも埋まったのはあの朱雀の巫女だと言うではないか。



「康琳」

康「やぁね、私がしなきゃいけないなんて」

「ほら、貴方の力なら瓦礫なんて退かすこと造作もないでしょ」

康「はいはい、睡蓮に言われちゃやるっきゃないわね。陛下、私にお任せくださいな」




康琳は瓦礫に手をやるとガコンっと軽く持ち上げて後ろへ投げた。
次々と投げるその瓦礫が民に当たらぬよう睡蓮が糸を出し粉々に砕いていく。



美「あ!」

康「あら、生きてるわ。悪運強いわねぇ」



助け出された2人に皇帝陛下・星宿が近付いた。





星「二人共無事だったか!そなた達は後宮の妃の1人とそのものに仕える1人か?
…先ほどの力は…、まさか…!」

康「私は康琳。七星名では「柳宿」と申します」

「私は睡蓮と申します。光の守護・一等星でございます」

星「そなたが光の守護・一等星…!噂では糸を使うと聞いていたが、まさか先ほどの糸は…」

「はい、私のものでございます」

星「なんということだ…。光の守護がこの紅南国に居たとは…!」

「皇帝陛下にお目にかかれ、光栄であります」




星宿と睡蓮が話している間、向こうでは大分ことは大事になったいるようだった。
康琳が鬼宿に接吻をし、朱雀の巫女・美朱は驚き声を上げていたのだった。












後宮に戻り、廊下を歩く。


「康琳ったら、何やってるの…」

康「ふふ、いいじゃないの、減るもんじゃないんだし。そぉだわ、睡蓮!私のことは柳宿って呼ぶのよ。さっきあぁ紹介したんだから周りも康琳より柳宿って呼ぶだろうし」

「…それで、いいの?」

康「いいのよ。ほら、呼んでみなさい!」

「柳…宿…」

柳「ふふ、それでいいの」



呼び慣れないのか詰まりながら名前を呼ぶ。なんだか、こそばゆい感じがした。


「あ、そうだったわ!」

柳「ん?どうしたの?」

「陛下に呼ばれていたのよ。今から行ってくるわ」

柳「分かったわ。終わったら私のとこに来なさいよね!」

「えぇ」



睡蓮と柳宿は別れて睡蓮は星宿の元へ、柳宿は自分の部屋へ…ではなく美朱の部屋へ行くのだった。












「失礼致します、陛下」

星「よく来てくれた、睡蓮」

「ご用は何でしょう」

星「…光の守護・一等星について、聞かせて欲しいのだ。文献にはほとんど載っておらず、幻の存在と言われていた者だ。少しでも情報が欲しい」

「分かりました、ご説明致しましょう。しかし、私自身そこまで一等星について深く知っているわけではありません。あくまでも、大極山に居る太一君から聞いたものです」

星「構わない」

「光の守護・一等星というものは、その時代、その時代に1人しか居ません。そして、光の守護が付けばその国は繁栄されると言います。一等星の使命とは、異世界から現れし巫女とその守護・七星士を護り、力を貸すこと。その為に生まれてき、生きることが宿命なのです」

星「そうだったのか…。他には何か知っているか?」

「いえ…、太一君は多くを語ることはしませんでした。時が来れば、話すと…」

星「そうか、、分かった。よく、話してくれた」

「いえ。また分かり次第、陛下にお話致します」

星「あぁ、頼んだ。では、もう行って良い」

「はい。失礼致します」








部屋から出て、言われた通り柳宿の部屋へと向かう。
しかし、途中にある池を見れば何やら水面が揺らいでいる。
不審に思い、近付き覗けばあの朱雀の巫女が水草に絡まって沈んでいた。
睡蓮は急いで池に近づき手を引っ張った。




美「ゲホッゴホッゴホッ!」

「大丈夫でしたか?」

美「あー!死ぬかと思った!ありがとう、助けてくれて!」

「いいえ、良いのです」



美朱は顔を上げれば、そこには微笑みかける睡蓮の姿。
月明かりに照らされた綺麗な髪、まるで天女のように美しい容姿に美朱は惚けてしまった。




美「(ふぁ〜…、すっごい綺麗な人…)」

「どうされました、巫女様?」

美「へ!?い、いや!なんでもないの!」

「しかし、どうしたのです。こんな池で…」

美「あ、その、探し物をしていたの!」

「探し物?何が大切な物を落とされたのですか?」

美「私のじゃないんだけど、透明で綺麗な耳飾りなの。でも、無かったからこの綺麗な石を渡そうと思って!」


美朱の手の平には澄んだ綺麗な石があった。





「この石を…。一体どなたに?」

美「柳宿だよ!」

「柳宿?」

美「うん!あ、ねぇねぇ!名前なんて言うの?」

「申し遅れました、私は睡蓮。後宮で仕える1人でございます」

美「睡蓮…。綺麗な名前…。私は夕城美朱!」

「美朱様と言うのですね。とてもお似合いです。今からその石を柳宿へ届けに参るのでしょう?私も行きましょう」

美「本当!?ありがとう!」






柳宿の部屋へ行けば鬼宿と柳宿が言い合っていた。
聞けば異界から急に来た美朱が星宿・鬼宿を独り占めにし、ちやほやされているのが気に入らなかったようだ。



美「あんた陛下が…、星宿が好きだったの…」

鬼「美朱??お前無事だったのか!」

柳「そんな…、睡蓮まで居たの!?」

「たまたま見かけたから一緒に来たのよ」



柳宿は美朱の隣に立つ睡蓮を目に入れてその端正な顔を渋い顔にした。




美「はいこれ!耳飾り無かったから代わり!でも綺麗な石でしょ!」

柳「バカね、池の中に入ったの?あれはウソ…」

美「知ってたよ。だって話出来すぎてるし、あの時後宮からは出れなかったって言ってたじゃん」



その言葉に柳宿は気付いたようで、美朱の顔に平手打ちをした。が、美朱も負けていないようで柳宿に平手打ち返しをしていた。
その光景を睡蓮は苦笑いを浮かべながら見ていたのだ。




「一本取られたわね、柳宿」

柳「悔しい…」

「ふふふ。ほら、これ」

柳「?」


目の前な出されたのは冷たく冷やされた、氷を巻いたタオル。




「柳宿の綺麗な顔が腫れ上がっちゃったら大変でしょ?」

柳「〜〜っ!睡蓮!」

「わぁ!」

柳「やっぱあんたは最高よ!」

「いたたた…。もう、何年幼馴染してると思ってるの?」

柳「それもそうね〜。これ、ありがとう。使わせてもらうわ」

「えぇ」









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