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本日、柴崎先生は出張のためお休みです。



それに一同無言。からの、



「「「「えーーーっ!!」」」」



ブーイング。



「聞いてない!」

「そうだよ、出張なんて!」

「どこに!」

「大阪らしいです」

「嘘ー…」

「マジか…。…あ、烏間先生!」

「?」


教室の前を通りかかった烏間は呼び止められ顔をそちらに向ける。


「柴崎先生が今日出張だって本当ですか?」

「出張は明日だ」

「「「「…………」」」」

「………あれ、」

「今日はその最終確認の会議で午前は防衛省に行っている。午後からまた来るだろう」


それだけ言うとその場を去る烏間。またも無言の一同。約1名、ちょっぴり汗をたらり。



「何嘘ついてんだ!」

「明日じゃんか!」

「びっくりさせないでよね!」

「柴崎先生いつも前の日に言ってくれるのに今回は言ってくれてなかったのかと思ったじゃん!」

「あれ、あれ!?明日!?先生の聞き間違いでしたか!」

「「「「殺せんせー!」」」」

「いやぁ、すみませんっ」


なんだ良かった〜。出張頑張って下さいっていつも言ってるから今回言えないかと思った。初めての出張の時、癒しが足んなくて俺ら干からびたもんなー。前日補給要るよな。と話す生徒達。



「君達は本当に柴崎先生が好きですね」

「当たり前じゃん」

「殺せんせーもでしょ?」

「はい、勿論。先生、柴崎先生のさりげない優しさ大好きです」

「分かるそれー!」

「10あったとしたら、5の優しさと5の厳しさだよな」

「偏らないよね」

「後、彼のコーヒーはとても美味しいですよ」

「もう先生ずるい〜」

「いいなぁ、飲めてさ」

「ずるいずるい!」

「ヌルフフフフ。特権です」


触手を遊ばせてニヤッとして言う。


「あ、でも頭撫でてもらえるのは私達生徒の特権だよ!」

「あれさ、他の人からだとなんか恥ずかしいけど、先生からされると恥ずかしさより嬉しさが勝つよな」

「うんうん!また撫でて欲しいーって思うなぁ」

「にゅや!それは…っ、されたこと…ないです…っ」

「…あんま想像したくないわ」

「殺せんせーが柴崎先生に撫でられるなんて…」

「…悪夢」

「君達失礼ですよ!」


授業中なのに、授業が始まらず…何故か本人の居ない時に本人に関する話をし出す。



「なによ、なんか面白そうな話してるじゃない!私も混ぜなさい!」

「あ、ビッチ先生」

「やっぱ柴崎先生の話してると来るよな〜」

「レーダーでも付いてんじゃね?」


E組の教室前を通った時に聞こえたその話。この話題に乗らない手はないわ!とガラリと扉を開け参加して来たのだ。


「私の居ないところでシバサキの話をするなんて百億年早くってよ?」

「じゃあ烏間先生はもう百億年越えてんのね」

「うっ、ま、まぁカラスマは百歩譲ってやるわっ」

「(妥協した)」

「(敵わないと察したんだ)」


ふんっとそっぽを向くイリーナに生徒達の生温かい目は注がれる。



「で、あんたらはシバサキの何を話してたのよ?」

「なにって言うか、」

「柴崎先生は私達の癒しだねって!」

「皆好きだよなって言ってたんだよ」

「後、コーヒーが美味いって話も」

「ふ、やっぱりガキねぇあんた達は」



イリーナは肩にかかる髪をふわっとかき上げて言った。大人の女性の色気だ。


「にゅや?どういうことですか?イリーナ先生」

「シバサキの魅力が癒しやコーヒーの味だけだと思ってるの?」

「好きって点にはなんも言わないんだな」

「みなまで言っちゃ駄目よ」

「そこ!お黙り!」


ビシッと指を指して言う。そして一つ咳払いをして口を開く。



「いい事?シバサキはとても冷静沈着な男性。その上頭脳もあれば回転も速いわ」

「「「「…っ」」」」

「……っ」

「私は仕事上そんな男を五万と見てきたの。でもどの男もその知識や知能をひけらかしては女を落とそうとする馬鹿な奴ばかり」

「(ビッチ先生が…)」

「(ちょっとまともなことを言ってる…)」

「冷静沈着だなんだという男も、いざって時は自分に力がないから人を動かす。指図する頭と力はだけはあるのよ。…だけど彼は違うわ」


組んでいた腕を解くと指と指を絡めて握った。






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