プラネタリウムに溶ける




「…ベルツリータワー?」

「はい!」

「確か最近出来たっていう…、」

「そうなんです!」


目の前にいるのは蘭と園子。…そして少し目線を下げたところにコナンがいた。

ここは街中。とはいえ人通りもある為、少しばかり横に逸れて話していた。




「へぇ。そこに今度行くんだ?」

「三連休あるし、テストもないし、今しかないよねって話になって」

「だが行くなら夜なんだろう?」

「?はいっ」

「…、 」

「「「? 」」」

「、…ふふ。烏間はね、夜は危ないから行くなら気を付けてって言ってるんだよ」

「柴崎…」

「あれ。何処か間違ってる?」

「……いや、」


柴崎にやった視線を彼の言葉故逸らす。間違ってなどいなかったからだ。その姿に柴崎は小さくくすくす、と笑う。




「じゃあさ!」

「「?」」

「2人も来たらいいんだよっ。ね?」

「え?」

「、」


まさかなコナンの発言に2人はポカンとする。そんな事を言われるとは思わなかったのだ。




「本当だ!烏間さん、柴崎さんどうですか?」

「良かったら2人も来て下さいよ!本当絶景ですから!」



更には蘭と園子にまで言われ、2人は顔を見合わせた。





「…どうする?」

「……会議は終わったか」

「…出張予定も今の所はないね」

「…あるとすると…」

「毎度毎度飽きずに溜まる書類の山くらいじゃない?」



なるほど…と今後と現在の状況確認を行う2人。ここが狂えば全てが狂うからである。故に確認は非常に大切だ。




「それいつ行くの?」

「今週の日曜日です!」

「だってさ」

「…まぁ、問題はないか」

「本当ですか!?」



反応する園子に2人は軽く首肯する。すると大いに喜ぶ彼女とその隣の蘭。コナンに至っては笑顔でその光景を見ていた。大方良かったね、蘭ねーちゃん、園子ねーちゃんとでも思っているのであろう。




「じゃあ今週日曜日の夜6時にベルツリータワー前で大丈夫ですか?」

「構わないよ」

「あぁ、問題ない」

「やったね!蘭!」

「うんっ!」


きゃっきゃきゃっきゃと喜ぶ彼女達。その隣にいるコナンの纏う空気も柔らかいため、彼も彼で2人が来ることを楽しみしている様子であった。




「じゃあまたっ」

「今週末に!」

「バイバイっ、烏間さん、柴崎さん」

「またね」

「あぁ、またな」



去って行く三つの背中。それを見送り、彼等もまた行くか、と足を動かした。











そしてやって来た日曜日。



「…随分ウキウキしてるわね」

「ん?そうか?」

「まるで謎解きをしている時みたいよ、今の貴方」

「へへ、まぁお前もすぐに分かるって!」

「何がですか?」

「何が?コナンくん」

「また俺らに秘密でなんか隠してんのか?」

「そんなんじゃねぇよ」

「さぁ、どうかしらね」

「…おいおい;;」



話し掛けてきたのは灰原と、そして光彦、歩美、元太だ。灰原に至ってはあまりに表情の緩いコナンに疑問を抱き話し掛けたのだが、どうやら理由は話してくれないらしい。



「まだかなっ」

「もうすぐじゃない?あの2人が時間に遅れるなんてないだろうし」

「? ねぇ、蘭お姉さん」

「なぁに?歩美ちゃん」

「他に誰か来るの?」


もうこれで全員揃ったと思っていた歩美は蘭と園子の会話を聞いてまだ誰か来るのかを問うた。すると腰を少し折っていた蘭はその表情を優しくさせた。




「ふふ、うん。実はね、今日はあと2人来るの」

「2人も、ですか?」

「えぇ、そうよ」

「俺らも知ってる奴か?」

「んー、もしかしたら元太君達は知らないかもしれないわね…。でもきっと会えば仲良くなれるわ。だって凄く素敵な人達だもの」


蘭にここまで言わせる人とはどんな人達か。彼等は揃いも揃って頭を悩まし、うーーん…と首を捻った。

それを見ていた灰原といえば、ある一つの答えに辿り着く。そして隣に立つコナンに目を向けた。



「…まさかとは思うけど、」

「お前の思う、そのまさかだぜ」

「また貴方は…。大体いつ誘ったのよ。あの人達だって仕事で忙しいんでしょう?」

「そりゃあそうだろうけど、聞けば会議もなければ近々出張予定もない。あるのは毎度毎度積まれる書類整理くらいだって言うからさ」



それにお前だってあの人らに会いたかったんじゃねぇのかよ。とコナンが彼女に言えば、それはそれは分かりやすいくらいにはその顔を背けた。




「………何よ。悪いわけ」

「ははっ、別に悪かねぇよ。それにお前がそんな風に安心出来る大人が居るっていうのは良いことじゃねぇか」

「………安心するのよ、あの人達の空気が」

「安心?」

「…えぇ。ただ、それだけよ」



するとそこに一台の車がやって来、本近くの駐車場へと車を止めた。そして中から出てきたのは、皆お待ちかねの…、




「あ!こっちです!」

「お久しぶりでーす!」

「ごめんね、遅れて」

「道が混んでいてな」


そう、烏間と柴崎だ。彼等は聞こえてきた声の方に顔を向け、場所が分かればそちらへと足を向けた。



「気にしないで下さい。それにまだ予定の時間前ですし」

「そっか、それは良かった」


蘭と話す柴崎とその彼の隣に立つ烏間は、待ち合わせの時間に遅れず着けたことに安堵の息をついた。何せ道は渋滞も渋滞、ちっとも動かなかったのだ。

するとそこへコナンと灰原が話し掛けてきた。



「こんばんは、烏間さん、柴崎さん」

「こんばんは、コナンくん」

「こんばんは」

「まさか貴方達も来るなんて驚いたわ」

「この間彼女達に会った時に誘われてね」

「今の所急ぎの用もないんでな。招いてもらった」

「そう。でも息災そうで良かったわ」

「お陰様でね」


親しげに話される会話。それを不思議そうに見つめる目が3人分。自分達の知っている人達と、自分達の知らない人達との会話。それは彼等に疑問を抱かせた。

誰だろう?誰だろう?と話し合うが、答えなんて出てきやしない。となると、もうこうなったら直接聞いちゃえ!という答えに落ち着けば、3人はとことこ…と2人の近くへ歩み寄った。



「ねぇ、お兄さん達」

「「?」」

「…お兄さん達は蘭さんや園子さん、コナンくん達とお知り合いなんですか?」


そう尋ねられ、そこでそう言えばこの子達との面識はなかったな…と2人は顔を見合わした。それから柴崎は少し腰を落とし、彼らと目線を近くさせた。



「君の言う通り、あの子達とは少し知り合いでね。たまに街で会うんだ。でも、君達とは初めてだったね。俺は柴崎。よろしくね」

「俺は烏間だ」


柔らかな笑みと、仄かではあるが優しい笑みと。そんな向けられる2つの笑みに、少年少女達は目を開き、それからパァッと表情を明るくさせた。


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