気付かれる、気付かされる
自分の気持ちが分かってからというもの、自然とシルビアを目で追うようになった。
夜天の時もヒーラーの時も。
火「ふふ、太陽ではそのようなことがあるのですね」
「えぇ。今度、ぜひ太陽にいらして欲しいわ」
火「まぁ、いいのですか?」
「もちろん。火球やスターライツ、キンモク星の星々の皆さんなら喜んで招待するわ」
火「楽しみにしていますね」
プリンセスとシルビアが話しているのをぼんやりと見つめる。
すると、肩をトントンと突かれた。
ヒ「なに?」
振り向けば何やら含み笑いをするファイターと微笑むメイカー。
ファ「ちょっと話があるのよ」
ヒ「話?ここで出来ないの?」
メ「プリンセスとシルビアのそばから離れたくないのは分かるけど」
ヒ「そっ、そんなんじゃないわよ!」
ファ「まぁいいからいいから!」
腕を引っ張られて部屋を出る。
何か用かと聞くと、更に笑みを深くする。
ヒ「気持ち悪いわね、何よ」
ファ「ヒーラー、貴方、シルビアが好きなんでしょ!」
ヒ「……は!?」
ファ「隠さなくていいわよ。私たちの仲でしょ!」
ヒ「え、ちょっ、はぁ!?」
メ「ふふ、そこまで慌てるなんて今更誤魔化せないわよ、ヒーラー」
ヒ「な、なんで…!」
ファ「見てればわかるわよ〜。貴方、ずっとシルビアのこと目で追ってるじゃない。前も過保護だったけどさらに過保護になったし」
メ「最初は私たちの勘違いだと思ってたんだけど、ヒーラーを見てればそうじゃないって分かって」
まさか、バレているなんて気付かなかった。
そんなに分かりやすかったの、私…。
ファ「ねぇ、ヒーラー」
ヒ「…なに?」
ファ「もし、そのことで何か悩んでいるなら私たちにいつでも話してね」
ヒ「え…」
メ「相手は、太陽のプリンセス。平和と調和を祈る、この銀河を統治する人。周りは身分がどうとか言うかもしれないけれど、私達はそんなこと関係ないと思っているわ」
ヒ「メイカー…」
ファ「恋をすることに、身分なんて関係ないもの。恋は自由よ。愛する心があれば、そんな壁越えていけるわ」
ヒ「ファイター…」
私は、なんて恵まれているんだろう。こんなに素敵な仲間に支えられて。
ヒ「…ありがとう、2人とも」
メ「ふふ、いいのよ」
ファ「そうよ。で、気持ちはまだ伝えないの?」
ヒ「まだ言わないわ。もう少ししてから」
ファ「そう。何か協力できることがあったら言ってね」
メ「いつでも力になるわ」
ヒ「ん、ありがとう」
ファ「さっ!じゃあプリンセスとシルビアのところへ戻りましょう!」
メ「そうね、戻りましょう」
部屋に戻れば、温かな2人が優しい笑顔で迎えてくれた。
夜、火球に呼ばれ、火球の部屋に来ていた。
コンコン
火「開いています」
「火球、来たわ」
火「シルビア。夜にすみません」
「いいのよ、気にしないで」
火「今お茶を出しましょう」
「ありがとう」
カチャリと、紅茶を出してくれる。
一口飲めば体と心がホッとする。
火「実は、シルビアに話しておきたいことがあって」
「私に、話しておきたいこと?」
火「はい。ねぇ、シルビア。シルビアはヒーラーをどう思っていますか?」
「ヒーラーを?そうね…、とても優しい人だと思うわ。真面目で正義感があって、いつだって火球やこの星のために頑張ってくれている」
火「ふふ、確かに、ヒーラーはよくやってくれています。そうね…、シルビアはヒーラーのことが好きかしら?」
「もちろん好きよ。ファイターもメイカーも、大好き」
火「では、その好きは、ヒーラーとファイター、メイカーと同じ好きかしら?」
「え?」
同じ、好き?
火「私には、違うように見えるのです」
「違う、好き…」
火「貴方がヒーラーを見る目は、まるで恋をしているよう。ここに来た時、シルビアはとても輝いていましたが、最近の貴方は更に輝いています」
私が、ヒーラーを、好き?
確かに、時々ヒーラーを見ていると胸がドキドキとした。
笑いかけてくれると、とても嬉しかった。
無意識に、姿を探したりもしたことがある。
手を差し伸べてくれて、その手を握ればまるでお姫様になったような気分になる。
火「その人を思い浮かべたり、胸がドキドキしたり、動作一つ一つが嬉しい…。そう思う気持ちは、好きという恋なのですよ」
「私が…、ヒーラーを好き…」
言葉にすると、心がほんわかと温かくなった。
あぁ、これが、好きという気持ち。
これが、恋というもの。
「けれど…、私とヒーラーではあまりにも…」
火「恋をすることに、身分など関係ありませんよ。大切なのは愛する気持ち。その気持ちがあれば、人はなんだって乗り越えられるのです」
「火球…」
火「大丈夫。私はあなたのその恋を応援します」
「ありがとう、火球。私、この気持ちを大切にするわ」
火「はい。今日はこの話をしたかったのです。貴方と話せてよかった」
「私も、話せてよかった。心のどこかにあったこの気持ちを知ることが出来たわ」
火「ふふ、さぁ今日はもう遅いです。そろそろ寝ましょうか」
「そうね。じゃあ、私は部屋に行くわ」
火「また明日、シルビア」
「えぇ、また明日、火球」
部屋を出て、どこか軽い気持ちと足取りで部屋へと帰っていった。
でも、自覚してしまったこの気持ちを持ってどうヒーラーと夜天に接すればいいのか、顔を赤くした。
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