太陽のプリンセス
そう思った時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「イノセント・グロー!」
カ「ぐああっ!!っ、誰だ!」
「この星を、あなたの好きな様にはさせません!」
現れたのはシルビアだった。
いつもの穏やかな顔とは違い、真っ向から敵を睨む、怒りの表情を見せた。
ファ「シルビア様!!」
メ「いけません!シルビア様!そいつから離れてください!!」
ヒ「あなたを危険な目に遭わせる訳にはいきません!!」
「大丈夫。こんなに傷だらけなってまで、よく頑張ってくれました。あとは、私に任せてください」
カ「シルビア…、貴様、もしや太陽のプリンセスか?」
「えぇ、私は太陽のプリンセス、シルビア」
カ「はははっ!!そうか、貴様がこの銀河を統治する、プリンセス・シルビアか!!なるほど、それならば先ほどの攻撃も頷けよう。しかし、貴様が居ようが居まいがこの星は滅びるのだ!このカオスによって!」
「いいえ、そんなことはさせません。この私、シルビアがいる限り!サンライト・プレシャス・パワー!」
カ「なっ、なにっ!?っぐぁぁぁっ!!」
眩い光が満ち、カオスに向かって放たれる。
ファイター、メイカー、ヒーラーはシルビアにこんな力があったことに驚きを隠せない。
カ「っく、おのれ、太陽のプリンセス!!この次は必ず…っ!!」
カオスは重たい体を引きずりながらキンモク星から消えていった。
その姿を見た後、シルビアは急いで3人の元へ走り寄った。
「ファイターさん、メイカーさん、ヒーラーさん!!ごめんなさい、私がもっと早く来たら、こんな怪我…」
メ「いいえ、シルビア様…、あなたが来てくれたおかげでこの星は救われました」
ヒ「そうです。私達だけでは、正直歯が立ちませんでした…」
ファ「ただ、あなたにお怪我がなくて、本当に良かった…」
「私のことなど…!それより、早く傷の手当てをします。3人とも、じっとしていてください。
シャイン・キュア」
温かな光に包まれたと思ったら、傷を負っていた部分が治っていく。
痛かったところも消えていき、まるで魔法のよう。
ファ「この力は…」
メ「シルビア様に、こんな力があったなんて…」
ヒ「傷が、治っていく…」
光が細くなり消えていくと、体にあったすべての傷はまるで無かったかのように綺麗に消えていた。
「これで大丈夫です。もう、痛みませんか?」
ヒ「大丈夫です」
ファ「ありがとうございます、シルビア様」
メ「なんとお礼を言ったらいいか…」
「お礼だなんて、そんなもの必要ありません。貴方達は私にとってとても大切な人たち。その人たちを助けることに、理由なんて必要ありません」
ファ「でも、」
納得いかない顔をする3人に、シルビアはうーんと頭を捻る。
そして、そうだ!と表情を明るくした。
「それでは、一つお願いをしてもよろしいですか?」
メ「何なりと」
「私のことを、シルビアと呼んで欲しいのです」
ファ「え?」
「様をつけられると、なんだか落ち着かなくて…。なかなか言う機会がなくて言えませんでしたけど、この機会に」
ヒ「でも、よろしいですか?」
「勿論です!あと、敬語となくしてくれると、とても嬉しいです」
3人は顔を見合わせる。
そして、小さく笑うとシルビアの方に顔を向けた。
ファ「分かったわ、シルビア」
ヒ「でも、私たちからもお願いがあるわ」
メ「私たちのことも、呼び捨てで呼んでください」
まさかの要求にシルビアはキョトンとする。そんなシルビアに3人はふふっと笑う。
ヒ「ほら、呼んでみて、ヒーラーって」
「ヒ、ヒーラー?」
ヒ「ふふ、えぇ」
ファ「じゃあ、私も。ファイターって呼んでみて」
「ファイター…」
メ「私もメイカーって呼んでみてください」
「メイカー…」
戸惑いながら呼ぶと、呼ばれた方は嬉しそうに笑った。
そして、呼んだ方も、嬉しそうに笑った。
4人は火球の元へ行く。
火「あぁ、スターライツ、シルビア!よかった、無事で…」
「心配をかけました、火球」
火「いいえ、貴方達が無事ならそれで良いのです」
ファ「実はプリンセス、私たちの怪我をシルビアが治してくれたんです」
火「まぁ!シルビアが?」
ヒ「はい。とても温かい光で、私達を救ってくれました」
メ「そして、この星も」
火「なんとお礼を言えばいいのか…、本当にありがとうございます、シルビア」
「気になさらないでください、火球。この星はもう私のもう一つの故郷。大切な場所であり、大切な人たちがいます。その場所を守るなら、私は力を惜しみません。それに、さらにファイター、メイカー、ヒーラーとも仲良くなることができました」
シルビアは3人の方に顔を向けると、ファイターもメイカーもヒーラーもシルビアに笑いかけた。
その姿を見た火球は喜び、笑みを浮かべた。
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