僕らは共犯者 2


「あの〜!」

「「ん?」」

「「んぇ?」」


離れない花岡と離そうとする烏間。肩に腕を回す赤井とそれにもう良いやと諦めた柴崎。4人は殺せんせーに呼び掛けられそちらに意識を向ける。




「主旨なんですが!」

「「(…あぁ、忘れてた)」」

「……っあ!そうだよ!主旨!」

「主旨忘れてたわ!」

「忘れないでくださいね!?烏間先生と柴崎先生も案外忘れてたでしょう!?そんな気がします!!」


もう!と怒る殺せんせー。そして一つ咳払いをすると本題に戻す。




「つまりです。私が赤井さんと花岡さんをここに連れて来た理由。それは…、『烏間先生・柴崎先生vs赤井さん・花岡さんガチンコバトル!』を行いたいと思いまして」

「「「「は?」」」」

「「「「へ?」」」」

「まっ、簡単に言うと模擬暗殺ですね。私を暗殺するのではなく、敵チームを暗殺するのです。ですから、烏間先生・柴崎先生は赤井さん・花岡さんを。その逆もまた同様です」


ナイフ、拳銃、体術のみ使用可能。勿論ながらナイフと拳銃は対先生用の物。人間には無害なため、傷は付かない。先に2人を倒せた方が勝ち。1人に2人一気に行くも良し、一対一でするも良し。そこは自由だ。…と殺せんせーは4人の返答を聞かずに話を進めていく。



「いやでも俺らまだ仕事あるしなぁ」

「ほっぽってきたもんな、机に」


うーんと、頭を掻く2人。確かにこの2人は仕事中にちょっとすみません、と連れて来られた側である。あまり時間を食うのもな、という思いもあるのだ。あまり乗り気でない赤井と花岡を見て、殺せんせーはぼそりと呟く。



「……なるほどなるほど。ということは、お二人は烏間先生と柴崎先生に勝てる自信はお有りでないとうことですねぇ。ほうほう」

「「……」」


あくどい顔をし、口角を上げる。挑発をしているということは生徒達にも烏間、柴崎にも分かる。しかもあまりに分かりやすく安っぽい挑発である。それに男性教師2人は全く…と溜息をついた。



「あのな、幾ら赤井と花岡だからと言って舐めていれば痛い目見るぞ」

「大体そんな見え見えで安っぽい挑発に乗る程こいつらも馬鹿じゃ…」

「烏間ーーっ!柴崎ーーっ!」

「やっぞ!今すぐ!!ほら!外!出る!!」

「……馬鹿だった。予想以上に」

「……単細胞か、あいつらは」


闘志をガンガンに燃やす単純2人に呆れてしまい遂には頭が痛い。何故乗る。何故引っかかる。手のひらで転がされていることに気付け。



「やってやろうじゃん!これでも第一空挺団所属の時はこいつら2TOPのランク一個下くらいだったんだぜ!」

「んでもって烏間、柴崎の名コンビに付いて行けるコンビだったんだからな!俺ら!」

「あの2人が2TOPだった事は認めてるんだな」

「あと名コンビってとこもね」

「正直者なんだよ、きっと」

「良く言えばな」



しかし悪く言えば単純だ。そしてこの単純さは、実は昔から変わっていない。

だが生徒達も口ではそう言うが楽しみなのか、少し落ち着きがなくそわそわとしている様子も見て取れる。これはもしかすると、いつもと違った…刺激ある模擬戦が観れるのではないのかと。



















「……いつになればこの巻き込み事故から免れると思う」

「……難しい事聞くね、烏間。難問だよ、それ」

「…お前で難問なら誰も答えを出さないぞ」

「……敢えて出すなら、…諦め、じゃないかな」

「「…………」」


互いに横目で見合う。そして…


「「…………はぁ」」


大きく溜息をつく。彼らの服装は体育の時間で時に着る迷彩の服。動き易さ重視の訓練に最適な服装。そしてその服を着るのは2人だけではない。



「なっつかしー!こんなの着んの何年振りだよ」

「教官した以来じゃね?軍服脱いだらもう着る機会なんてねぇもん」


久々の迷彩柄の訓練服。ここ数年はスーツであった為懐かしい。自然と身も心も引き締まる。



「どんな模擬戦になるのかなっ」

「なんかワクワクすんな!」

「あの2人のランク一個下位の実力だろ?それって相当強いじゃん!」

「烏間先生と柴崎先生の戦術も見ものだし、赤井さんと花岡さんの戦術も見ものだね」

「早く始まんないかなぁっ」

「楽しみ!」



校庭に出て、校舎側に生徒達は立ち見学を。この模擬戦が彼らに新たな知恵を生ませるかもしれない。目で見て盗むのも勉強の一つだ。



「さて、両者組共に動き易い格好に着替えて頂いたところでナイフと拳銃をお渡しします。どうぞ」


渡されるそれらを受け取る。だがどちらも1組ずつしかなく、1人1つの武器だ。



「対先生銃には一応ペイント弾を入れています。なので撃っても問題はありませんので、思い切り使って下さい。ただ弾に限りはありますので、そこだけ注意を」



後はどうしても構わない。審判の殺せんせーの判断で勝敗は決まる。勿論、贔屓などなしでだ。正当に判断する。




「っしゃ。んじゃま久々本気出すかね」

「おうよ。ギャフンと言わせてやろうぜ!って事でお前ら!!覚悟しと…っておいィ!!聞けよコラァ!!」


ビシィッと烏間と柴崎を指差す花岡。指を指された側の2人といえばガン無視だ。眼中にない様子で会話している。


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