test3



《テスト勉強は集中してしましょう》



「…んー…」

「……」

「……あ、こうか」

「…合ってる。…そこは無限遠方を基準にするんだ」

「…てことは、Uはこうなる?」

「あぁ」



ノートと参考書と向き合いながらテスト勉強をする2人。



「…この「独」とその下の送り仮名の「ノミ」があるから…」

「……限定か」

「うん。訳はただ〜だけ、ってなる」

「…なら、こうだな」

「…烏間字綺麗だね」

「…そうか?…柴崎も綺麗だろう」

「…そうかな」

「俺は好きだな。お前の字」

「ふふっ、俺も好きだよ。烏間の字」


机の上には勿論勉強の類。しかしそれらの主はといえば、今は互いに小さく笑い合っている。







「「「「………………」」」」


それを見る、同じくテスト勉強中の同期達。彼らの手は止まっている。そして思う事はただ一つ。



「「「「(…あれがいて集中出来るかよ!!!)」」」」


なんだ!!今テスト勉強中だろ!?ある意味学生には鬼気迫る時だろ!?なのになんであそこだけ空気あぁなんだよ!!なんでだよ!!何が違うんだよ!!全てか!!?



そんな事を心の中で叫び、口には一言だって漏らさない。漏らしてたまるか、永久に今の言葉は封印する。彼らの心は固い絆で結ばれていた。




「…柴崎って何モンだ?」

「あの烏間があんな風に笑うの柴崎の側だけだぜ?」

「かく言う柴崎のあの柔らかい空気が出ているのも烏間の側だ」

「いや元からあいつの纏う雰囲気は柔らかいだろ」

「馬ッ鹿ちげぇよ。それに拍車が掛かってるって事だよ」

「あ、なるほど…」


そしてまた顔を2人に向ける。たまに教え合い、たまに何か話すのか笑い、また取り組む。




「…柴崎が女ならなぁ」

「「「「!!!?」」」」


天宮の言葉に他の同期は目を開いて彼を見る。見られる彼の視線の先は柴崎。しかし天宮はその目に気付いてそちらを向く。



「え、なに?」

「……天宮、お前」

「……ホ、「ちげぇわ馬鹿!ノンケだわ!」

「ややこしいんだよ!」

「ノンケならノンケらしくしろよ!」

「ノンケらしくしたくてもここ女子少ねぇよ!」

「「「「………………」」」」


あまりに核心つくその返答に黙り込んだ。ちなみにこれらは全て小声での会話である。




「…ま、な…。…ここ少ないよな」

「それが俺らの運命だ」

「重いわ」

「だから男の中で綺麗系に含まれる柴崎見ると、あいつが女ならなぁーって思うんだよ。性格も良いし」

「「「「あぁ、なるほどな」」」」


それは結構思われていること。本人は知らないが。食堂に行けば年配の人からもよく声を掛けられている。それに嫌な顔せず笑って返しているのだから颯爽あの人達は心を掴まれているのだろう。



「まぁ烏間もイケメンだし、柴崎は整ってるからな」

「食堂のお姉さんやおばさんなんて首ったけじゃね?」

「夏季休暇前か?柴崎食堂のおばさんからチョコ貰ってた」

「坂木〜バレンタインまだ先だぞ?」

「いや、そうなんだけどさ。普通のこんな一口チョコ2つ」

「(…あれだ)」

「(絶対あれだ)」


赤井、花岡にはそのチョコに覚えがあった。



「……年中あいつはバレンタインか」

「相手おばさんでも羨ましいわっ」



このこの!と地団駄を軽く踏む。



「でもあいつ付き合った人居ないっぽい」

「え、そうなんだ」

「花岡、それ本当の話か?」

「本当だし!本人それっぽい感じだったからさ」


花岡の言葉にその机の周りに居た同期たちは彼に視線を向けた。




「でも告白はあったろ?」

「あったみたい」

「そりゃあるだろ。あれでなかったら俺ら一生ねぇ」

「あって良かった。俺達はまだ報われる」

「だっからなんか重いわ」

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