2年に上がる前に1年は希望届けを出す。その希望が通るとは限らないが、出さなければ上はそれを参考にし成績と照らし合わせ分けられないのだ。
「赤井はどこ?」
「俺陸ー」
「おっ、一緒じゃん。烏間と柴崎はー…ってなにこの距離。なんで?なんでこんな離れてるの?ねぇなんで?」
紙を提出に…と腰を上げて向かっていた時だ。そこに居たはずの烏間と柴崎は何故か赤井と花岡から少しばかりか離れている。
「…まさかだったなぁ」
「あぁ…。海ではないと思っていたが…まさか陸とはな…」
「空かなーって思ってたんだけど…」
「下降訓練1番楽しそうにしてた奴らが…」
「「なんで陸?」」
「「なんで陸じゃダメ?」」
おかしい…と言う烏間と柴崎とは逆に、何故おかしいのだと問う赤井と花岡。
「だってさー、烏間と柴崎は絶対陸じゃん?」
「んで、空挺行くだろ?」
「まぁ…」
「そうだな…」
それはこの紙を出す前に少しポロリと口にしたことだ。陸上自衛隊入隊後は空挺団へと。空挺団は大変厳しく、入りたいからと言って入れるところでもない。だがこの2人の実力なら入れるか入れないかと言われれば入れる部類なのだ。
「あそこって普通より厳しいって聞くしさ。まぁ烏間と柴崎なら入れるだろうけどお前らちょっと無理しがちじゃん?」
「そんなお前らのストッパー役って誰だよ!ってなったら、俺らしかいねぇしな。元々陸かなって思ってたから丁度良いしっ」
「赤井、花岡…」
「…嬉しいけど…」
「「ストッパー役は俺たちだろ/でしょ」」
「「なんだお前ら!!」」
なんだよー!心配してんのに!そうだそうだ!この輝かしい友情の絆を繋ぐためにだな!!とまぁ騒ぐ2人に残り2人は小さくため息を。だが、ため息吐きながらもその表情は柔らかい。
「後何年お世話係りかな」
「さぁな。案外長いかもな」
「20何歳になってもこんなんだったりしてね」
「当たりそうで怖い」
「失礼しちゃうわ、烏間くんに柴崎くん」
「お詫びに惟臣くんと志貴くんって呼んで差し上げてよ」
「この紙誰に出すんだっけ?」
「各教官じゃなかったか?」
「じゃあ教官室か」
「昼から酒飲んでそうだな」
「無視か。また無視か」
「一年経ってもこの冷たさ。いいさ。愛を感じるから」
「「なー?」」
烏間の右隣に花岡、柴崎の左隣に赤井が来て顔を覗く。それに烏間は花岡の頬を、柴崎は赤井の頭を緩く抓り、優しく叩いた。
「ならこれもだな」
「俺と烏間からの愛ね」
「…やだ、赤井くんご覧になって?烏間くんがわたくしの頬を優しく抓られたわ…っ」
「花岡くんもご覧になられて?柴崎くんがわたくしの頭を優しく叩かれてよ」
「明日は雪かしら槍かし…ててててっ」
「あらやだ花岡くんったら頬を大変抓ら…あだだだだだっ」
「ほら、お望みのやつやってやったぞ」
「もう要らないってくらいしてあげるから遠慮しなくていいよ」
「いひゃいいひゃい!ほっへいひゃいー!からふまー!」
「あだだだっ、頭痛い痛い痛い!柴崎ぐりぐり痛い!愛が痛い!」
こうして4人は軍希望届けを提出し、無事希望が通り陸上自衛隊へ。さらには座学・訓練共に非常に成績優秀だった為空挺部隊からのお呼ばれがあり、列記とした試験を行った結果見事合格し空挺団へと入隊した。
防衛学校1年目終了。春からは2年目だ。
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