「…あれ、俺だけかな」
「…いや、お前だけじゃねぇ」
「…じゃあ俺もかな」
「…なら俺もだ」
あれさ、
「「「「…付き合いたてのカップルか?」」」」
「だよな!」
「おうよ!」
「いやな、あいつら仲良いよ?仲良い。表面性格ぜーんぜん似てねぇけど、中身真面目なのはそっくりだ」
「これは俺たち2人が言える!なんせ春から行動が殆ど一緒だから!」
「部屋もあの2人同室だよな?」
「それも大きいよなぁ。寝るまで一緒だもんよ」
「俺とお前も一緒だべ?」
「あぁ、だべな」
「…あれお前ら出身そっち?」
「いや、違う」
「首都圏ですっ」
「ややこしいわっ!」
「いや、話は戻して…」
なかなか散らばっていた男達は少し集まり始める。小さく、でも不思議ではない大きさに。
「会った時からあいつらもう知り合いだったよな?」
「おー。俺とお前みたいに、中学からとか?」
「にしたら、まだちょっと距離あるくね?」
「だなぁ…」
「てことは、たまたまどっかで知り合ったとか」
「運命の出会い!!」
「溝淵、漫画見過ぎな」
「でもまぁ、柴崎綺麗だからなぁ」
「烏間イケメンだもんな」
ちらり、とソファへ。ソファの背凭れに背を預けていた2人は片腕をその預けて向き合い何やら視線は下。何をやっているんだろうか。
「…このメール。ずっと来る」
「迷惑メールか。拒否したらどうだ?」
「拒否?そんなの出来るんだ」
「あぁ。なんだ、知らないのか?」
「知らない。どうすんの?」
「貸してみろ」
「ん」
烏間に携帯を手渡す柴崎。すると慣れた様子で操作する。それを柴崎は覗き込んで見る。
「…へぇ、特定のメールってそうやって拒否するんだ」
「あぁ。って言っても、俺も前まで知らなかったけどな」
「じゃあどうやって知ったの」
「説明書読んだ」
「読んだんだ。あれ読むんだね」
「その為にあるんだろ」
「そうだけど、あれ読む気なくなるよ」
これくらい分厚いし。と指で幅を表す。
「そんなにか?」
「あれ、違う?これ位?」
「…まぁ、それくらいか」
「さっきと大差ないよ」
口元を軽く手で覆って笑う柴崎。そんな彼を見て軽く笑うと携帯を返す。
「ほら」
「あぁ、ありがとう」
「…もうこんな時間か」
「結局出来なかったな、ここ」
「また明日すればいい」
「そうする」
すると2人はソファから立ち上がり後ろを見て、少し引く。
「…何やってんの?」
「男が集ると暑苦しいな…」
「悪かったな!暑苦しくて!」
「どうせお前らは清々しいわ!!」
「ついでに神々しい!」
「溝淵、止めなさい」
「なぁ、烏間、柴崎」
「なに?」
「なんだ?」
結川が2人に尋ねる。
「2人はいつから知り合いなんだ?」
「「烏間/柴崎と?」」
「えっ?あ、うん!」
「いつって…試験日だよね」
「そうだな。後期試験で初めて会ったか」
「え!試験日に会ったのかよ!」
「そう。落し物拾ったのが最初だよ」
「あれから考えると、8ヶ月か?」
「ちゃんと話し始めたのから考えると、4月からだから6ヶ月になるね」
「早いもんだな」
「な。…っと、そろそろ部屋に戻るんだった」
「ああ、そうだった。じゃあな」
「結川達もそろそろ戻った方がいいよ」
そう声を掛けると2人は出て行った。それを見送る?見続ける?…とりあえず見る残された者達。
「…案外俺らと変わんねぇのな」
「な。けど、仲の良さってのはあの2人お互いにお互いが1番仲良いって思ってんじゃないかな」
「それもまぁ見てれば分かっけどな」
「6ヶ月も長く一緒に行動してたら仲良くもなるわ!」
「だなっ」
「んじゃ、そろそろ解散しよーぜ」
「おー。また明日な」
「またなー」
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