放課後。先程1日の授業が終わったところだ。生徒達の大半が校庭で遊んだり訓練したりする中、訓練の相手をして欲しいと言われた柴崎・烏間は外に出ていた。烏間は今速水と千葉の射撃訓練に付き合っている。柴崎は前原と磯貝のナイフ訓練に付き合っていた。他の生徒も自主的に訓練をしている。
「そういや、俺って柴崎先生とそんなに身長変わんないですよね」
前原が柴崎の前に立ってそう言った。そんな彼の横には磯貝もいる。
「確かに、前原と柴崎先生って目線があんまり変わらないよな」
「だろ?先生身長幾つっすか?」
「身長?…えーっと…、179cmだったっけ」
「ほら!俺175cmです。4cm差!」
「本当だね。あんまり変わらないんだ」
「磯貝は幾つだっけ?」
聞かれた磯貝は自分の身長を思い出す。
「確か…春の時で172cmだったと思う」
「てことは、先生と7cm差か。あ、じゃあ体重は?」
「体重?」
体重は幾らだっただろうか。あまりハッキリとは憶えていない。
「多分、67…とかじゃなかったかな」
「179cmで67kgとか理想体重じゃないですか!」
「へぇ…」
「俺なんて175cmで67kgっすよ?」
「…前原くん。それ烏間に絶対言わないで」
「へ?」
「…あぁ…;;」
前原は首を傾げて、磯貝は分かったのか苦笑いを浮かべている。
「前原くんと4cm違うのに同じ体重なんてこと知られたらどうなるか…」
考えただけでも恐ろしいと片手で腕を摩った。
「しかしまぁ、2人共大きいな。まだ中学生なのに。高校生になったらもっと伸びるんじゃない?」
「ですよね!もっと伸びて、長身イケメン目指してんすよ!」
「あ、そうなの;;」
拳を握り燃え滾る前原を前に柴崎は苦笑い。彼らしいといえば彼らしいのだ。
「柴崎先生は当然モテてたんですよね?」
「そうでもないと思うけど」
「またまたぁ!イケメンで優しくて強くて頭の良い先生がモテないわけない!!」
「前原くんは俺を過大評価し過ぎたよ」
「そんなことないですよ!なぁ、磯貝」
「うん。俺もそう思いますよ」
「磯貝くんまで…」
困ったなぁと頬を掻く柴崎。そこまで評価されるような人間ではないと思っていたのだ。
「告白とかなかったんですか?」
「告白ねぇ…。まぁ、無くはないけど…」
「やっぱり。付き合わなかったんですか?」
「うん」
「勿体ないっすよ〜」
「半端な気持ちで答えても可哀想でしょ?」
「前原と大違いだなぁ…」
「ぅぐ…っ、心に刺さる…っ!」
まぁ、ぶっちゃけるとシェリーの事があってからはそういった事から避けてたんだけど、と心の中で呟く柴崎。
「本当に好きな人が出来たら、きっとその人のことしか考えられなくなるよ」
「先生もそう思うんですか?」
「うん。で、例えば想いが通じあったとしたら、1番大切な人になるわけだから…。自然と守りたいって気持ちが出てくると思うな」
「守りたいかぁ…」
「好きな人が怪我したり傷付くのは嫌だろ?」
「嫌っすよ!」
「だから守るんだよ」
そう言って笑った柴崎を磯貝、前原はほー…と見る。
「先生の守りたい人って、今いますか?」
「守りたい人?」
「やっぱ、相棒の烏間先生っすか?」
磯貝の問い掛けと、前原の答えに柴崎はふと考える。烏間が守りたい人。それって…
「(…考えるまでもないよなぁ)」
だって大切な人は烏間で、守りたい人は烏間。そばに居たいのも、烏間。あれ、こう考えると、大概自分はあの男に侵食されてないだろうか。
「(…まぁ、嫌じゃないけどね)」
烏間の隣が、1番安心するのは事実なのだから。でもまぁ、烏間はそんなに守らなくてもなんとかなりそうだけども。そうなるとやはり…
「…守りたい人は、」
「「守りたい人は?」」
「君達生徒かな」
「「へ?」」
「磯貝くん、前原くん含むE組生徒達。今1番守りたいのは君達だよ」
「先生…っ」
「柴崎先生…!」
目をウルっとさせる2人。そして前原は周りの人の目気にせず柴崎に抱き着く。
「柴崎先生愛してますーーッ!!」
「えっ!?;;」
「「「「なんだ!?」」」」
「あ、ちょ、前原みんな見てるぞ!」
「構うもんか!この思い今打つけずいつ打つける!」
「いやそうなんだけど!」
「先生!俺頑張ります!そしてモテ男になります!!」
「あ、うん、そっか…。頑張ってね」
「はい!」
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