cognition

体育祭が終わり、さぁさぁ2学期中間テストが近づいて来ました。



「何調べてんのよ、カラスマ」


教員室。烏間がパソコンを前に何かを調べていた。


「テスト明けから訓練もより厳しさを増す。報酬代わりと言ってはなんだが、生徒達にプレゼントをやろうと柴崎と決めたんだ」

「ははーんなるほどね。って、そのシバサキはどこ行ったのよ。今日は朝から見えないわね?」

「あぁ、あいつは今日寝込んでる」

「えぇ!?風邪!?」

「あぁ。3日前母親と弟が高熱を出したらしくてな。その看病をほぼ寝ずにしていたら、移ったらしい」

「寝ずにって…、じゃあクタクタの体で学校に来てたってこと?」

「そうだ。無理せず1日休めと言ったんだが、運悪くその日急遽会議が入って休めずじまい。で、とうとう今朝倒れた」


朝方電話がかかってき、誰かと思えば柴崎から。出れば熱が出てしまい行けないと言う。様子を見にそちらに向かうと言い電話を切って、着いてみたはいいが…部屋に入れば大方電話して力尽きたかでベッドの側で倒れていた。相当な高熱であり、1日安静が必要だと判断したのだ。




「お見舞い行かなくていいのかしら…」

「あいつのことだ。移るといけないから来るな、とでも言うだろうな。まぁ、1日2日寝ていればすぐに治るだろう」

「まぁ…それならいいんだけど…。あ!じゃあシバサキの代わりに、女子の分は私が選んであげるわ!」
















夕方、午後4時。自室のベッドで寝ていた柴崎。目が覚めて、額に手を当てる。


「まだ…あるな…」



付きっきりの看病と仕事と。移るかもしれないが、放ってはおけないとすれば完璧移った。しかもこの病原菌、ひつこくしぶとい。熱でぶっ倒れるなんて何年振りだ。



「水飲も…」


ベッドから出て、ふらつく身体をなんとか立たせて歩き出す。その時、枕元に置いてあった携帯が鳴った。


「?」


手に取り見れば、そこには「園川」の文字が。



「園川…?…珍しい。…もしもし、どうした?」

『柴崎さん、実は…』

「…え?」












「………生徒への危害と報告しますか、烏間先生?」

「……今回だけは見なかった事にする。暗殺期限まで時間がない。危険を承知で高度な訓練を取り入れたが…。やはり君らには早過ぎたのかもしれん。俺たちの責任だ」



その時、病院の門から足音がする。顔を向けそちらを見れば、その先にいた人物に皆が目を開いた。その人物は珍しくも息を荒くし、肩を上下させている。



「…っ、はぁ…はぁっ…」

「柴崎…先生…」

「柴崎…!お前どうしてここに…っ!」

「…っ、園川から…連絡が来て…、はぁ…、生徒達が、一般人に怪我を負わせたって…っはぁ…。聞けば、近くの病院だったから…っ、心配で…っ」



烏間が柴崎に駆け寄り、苦しそうに息をするその身体を支えた。園川は柴崎が熱を出し寝込んでいることを知らず、駆け付けた中に彼が居ないのを不審に思い連絡したのだ。




「ッゴホッゴホッ…っ、状態は?」

「…右大腿骨の亀裂骨折だ。幸い程度が軽く、二週間程で動けるそうだ」

「…そうか…。…治療費は俺も出す」

「だが…」

「責任問題は、俺にもある。…お前だけの…ッゴホ、責任じゃない」



時折咳をしては辛そうにする柴崎を見て、生達の顔は曇っていく。




「…柴崎先生」


殺せんせーが柴崎の名前を呼ぶ。それに顔を上げる。




「まだ熱があるのでしょう。咳もされているし、脈も早い」


殺せんせーの触手が柴崎の首元に触れる。確かに早く、触った首元は酷く熱い。熱がある証拠だ。




「生徒達は、私と烏間先生がもう叱っておきました。後の事は気にせずに身体を休ませてください。風邪も万病の元。これ以上酷くなればもっと私も烏間先生もイリーナ先生も生徒達も心配します。…大切な先生ですからね」

「……はぁ、そうだな…。お前と烏間が叱ったなら、もういい。…十分、その色が見えるからな…」


後ろの生徒達に目をやれば、皆俯き暗い。いつもなら、優しい言葉の一つくらいかけるだろう。しかし事が事なだけあってそうはいかない。この件に関しては、きちんと反省しなければならない。



「俺も謝罪しよう」

「だが、お前その身体じゃ…」

「それくらい、しないとね。それだけしたら、…大人しく帰るさ」



隣に立つ烏間にそう言って、柴崎は歩き出し病院内へ。その後、保育施設を経営しているという松方さんの元へ行き謝罪し、柴崎はその場を後にした。案の定、熱は上がってしまい酷くなったのだが。

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