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「そういうお前は柔和人間だろうが」

「本当それもよく考えてて…っ、ネーミングセンスが…っ」


暫く笑う柴崎を眺め、そんな柴崎を笑うなと言う烏間を眺め、生徒達は悟った。



「「「「(柴崎先生、案外笑いのツボ浅いんだな…)」」」」



だがそこがギャップでイイ、と考えられていることなど本人は知らないが。












「はー、ごめんね、笑って。今まで持った生徒や部下にこんな面白いこと考える人間いなかったから新鮮で」

「逆に居たら居たで…」

「赤井さんと花岡さんは面白くないんですか?」

「あいつらは次元が違うから。…はい、烏間。治ったからもう大丈夫」

「はぁ、なら始めるぞ」


そして始まるサバイバル演習。







『「野球バカ」!!「野球バカ」!!標的に動きはあるか!?』

「まだ無しだ、「美術ノッポ」。「堅物」は今一本松の近くに潜んでいる。「柔和人間」は分からない。どこかに潜んでいるはずだ。「貧乏委員」チームが「堅物」の背後から沢に追い込み…「ツンデレスナイパー」が狙撃する手はずだ」


ここまであだ名。
「野球バカ」は杉野
「美術ノッポ」は菅谷
「貧乏委員」は磯貝
「ツンデレスナイパー」は速水だ。


「野球バカ」基杉野は「柔和人間」基柴崎がどこに潜んでいるか分からないと言っていたが、彼はそんな杉野のすぐ近くに潜んでいた。そして、いざ本番でそのあだ名を使って真剣に演習をしているのを見ると、どうしようもなく笑えてきたのであった。耐えているが。




「(皆純粋というかなんというか…。でも特徴掴んでるから誰が誰だかすぐに分かるんだよな)」


木の陰から顔を出し、ライフルを片手に潜む杉野を一瞥してからその場を去る。




「特に「女たらしクソ野郎」!!銃は常に撃てる高さに持っておけ!!」

「っ!?っふふ」



たまたま通りかかった所で聞こえたそれに柴崎は思わず笑う。この演習はいろんな意味で死にそうである。




「「柔和人間」発見!」

「狙撃用意!!」

「あ、見つかった」


あれは「キノコディレクター」に「ゆるふわクワガタ」。基、三村と倉橋だ。向けられる銃を確認し、足の力で地面を蹴って木の枝まで飛ぶ。


「あっ!逃げられた!」

「まだ遠くには行ってない!追うぞ!こちら「キノコディレクター」!「柔和人間」がプール方面へと移行!」

『了解!』





木々を伝い、地面に着地する。気配を感じて飛び退くと、先程までいた場所にはペイント弾。


「っあー、避けられたっ!」

「えーっと…「凛として説教」だっけ。惜しいね。あと数メートル離れていたら当たったかもね」


悔しがる「凛として説教」基片岡にそう言って柴崎はまた走る。走りながら横からの攻撃を避けていく。




「「コロコロ上がり」、もう少し腕を上に。「鷹岡もどき」は撃つ時左手に力を入れてライフルを固定」

「……」

「っくそ、ズレたっ!」



段々そのあだ名呼びにも慣れてきていつも通りに動く柴崎。さっきまでは笑いを堪えるのがしんどくていつかペイント弾当たるなぁなんて考えていたものだ。




「っおっと…」


その場から上に飛んで木の枝を掴み枝の上に乗る。乗った枝の本体である木にはペイント弾が4発。



「(「貧乏委員」と「凛として説教」の2トップ指示で「ツンデレスナイパー」と「ギャルゲーの主人公」が撃ってきたか。寸分狂いなく脳と心臓。あの距離から狙うとはね)」


枝伝いにその場を立ち去るが、次はその足を狙って狙撃。咄嗟に狙われた片足を上げてもう片方の足を軸にして飛び、地面に降りる。見れば僅かに色の付いた靴。そして、ベッタリと色の付いた、木の枝。



「(「中二半」のすば抜けた動体視力による中距離狙撃。動く標的の最も狙いにくい足元への攻撃。実弾ならば足を負傷した者は足手纏いになり即辞退だ)」


「中二半」基カルマによる攻撃に感心した柴崎。サボる癖があるが、それを覆う才能。動体視力の良さは「貧乏委員」と「中二半」がトップだ。ボーッとしていたら、首を取られかねない。



「…良い暗殺者達だ」



だからこそ、成長が嬉しく、育つその姿が頼もしい。










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