「おぉ!効果覿面です!」
「アホ抜かすな!何が効果覿面だ!」
「大体何をどう見て効果覿面だと言えるわけ!」
「お互いをよく見てくださいよ〜」
「「は!?」」
そう殺せんせーから言われた2人はバッとお互いを見た。で、固まった。僕たちも固まってるけど、それ以上というか…。あと…凄く、珍しい図…。
「か、烏間…?」
「柴崎…?」
「「「「ん?…………え?…えぇ!?」」」」
柴崎先生が烏間先生を柴崎先生と呼んで、烏間先生が柴崎先生を烏間先生と呼んだ。んん?ん?頭が変になってきた…。
「な、んで?」
「俺が…目の前にいるんだ?」
「ヌルフフフフ!大成功です!」
「「……………お前のせいか!!」」
「あだーーーーーッ!!!」
烏間先生が思いっきり殺せんせーに回し蹴りをして、柴崎先生が思いっきり殺せんせーをど突いた。…あれ、いつも逆だよね?
「つまり…、烏間先生の中には柴崎先生が。柴崎先生の中には烏間先生が。という事ですか?」
「そうだな」
「磯貝くんの言う通り」
こんなこと、あり得るのだろうか。中身が入れ替わるなんて。でも、さっきのを振り返ると頷ける。回し蹴りは柴崎先生がするし、ど突くのは烏間先生がするから。
「………で、」
「…元凶であるお前はどこへ逃げようって?」
「!!」
ソローッと逃げようとしていた殺せんせーを烏間先生(柴崎)が捕まえる。その捕まえられた殺せんせーに柴崎先生(烏間)が歩み寄って、
ゴンッ!!
ど突いた。(本日2度目)
すごく…痛そうだし、重そうな音…。
「逃げられるとでも思ったか?」
「あ、えー、ほら!私マッハ20ありま…「やってみろ」…できません!すみません!!」
あぁ、あの絶対零度の見下げ方…烏間先生だ…。柴崎先生は絶対零度の笑みだから。…でも…
「…柴崎先生が、怖い…」
「うん…。怒ったとしても、いつも笑みだから…」
「いや、それも怖いけど、これも怖ェ…」
「烏間、やめて。見下げないで。お願い」
それを側で聞いた烏間先生(柴崎)は柴崎先生(烏間)にお願いしてた。うん、やっぱりこの人は柴崎先生だ。で、あの人は烏間先生だ。
「大体な、何が面白くてこんなこと…」
「え、だって中身が変わったってなんか面白くありません?」
「……お前一ミリたりとも悪いと思ってないな?」
「にゅや!?そそそんなことないですよ!まさか本当に変わるとは思いませんでしたから!」
「吃ってるところがなお怪しい」
「白状しろ」
「………変わると実は知ってました」
「「はぁ…」」
「…どうする?」
「…どうする…か。このままじゃ色々不便だ」
「だよなぁ…」
「…はぁ」
「…俺この仕事辞めたい」
「落ち着け、柴崎。そして辞めるな」
「もう無理だって…。あいつ本当に異次元過ぎて手に負えない…」
「俺もフォローするし大丈夫だ。な?」
「どこで手に入れたわけ?どこで知ったわけ?なんでそんな思考に走んの?もう本当意味分かんない…」
「「「「(俺たち/僕たち/私たちも今の状況・光景が意味分かりません!!)」」」」
完全に沈んでいる烏間先生(柴崎)を柴崎先生(烏間)が慰め…というか支え?ている。本物の2人がそうなら別に何らおかしくなんてないんだ。時々見るから。そして今の光景も本物の2人なら時々見る。…けど、こんなに落ち込んだ烏間先生とそれを慰める柴崎先生の図は僕たち見たことない!
「…ごめん、うん。なんとかしよう。でも、とりあえず…」
「「「「(…なんだろう)」」」」
「あいつを一発蹴らして」
「「「「(そうきたかァ!!)」」」」
「あぁ。やってこい。許される」
そして烏間先生(柴崎)は思いっきり殺せんせーを蹴飛ばしてた。
「〜っ、やっぱり自分の体じゃないから上手く蹴れなかったな…」
「威力が違うか?」
「なんだろ…、捻りのくせが…」
「…まぁ、俺は格闘技に関してはお前より落ちるからな」
「うーん…。スッキリしない」
「戻ったら思いっきり蹴ればいい」
「…それもそうだね」
と言ってるけど、十分の威力というか衝撃を与えています。殺せんせー、痛みに悶えてるから…。
「まずは原因だが。俺はあの無理やり飲まされたアレしか思い付かない」
「同感。しかも同時に飲んだし、それ飲んでおかしくなったからアレが一番怪しい」
「「で、どこから持ってきた」」
「えっと…」
凄く凄く縮こまってる殺せんせー。でも、悪いのは殺せんせーだから僕ら手も貸せないし、フォローも出来ないよ…。どちらかというと、烏間先生と柴崎先生をフォローしてあげたい。
「ァ…」
「声が小さい」
「いつもの煩い声はどこいった」
「アフリカですー!!」
「「「「(アフリカにそんなもんあんの!?)」」」」
※実際、きっと無いです。
「…アフリカか」
「…普通さ、抗薬剤って存在するよね。研究所とかで作っているなら、もしも誰かが間違って服用した場合に備えて抗薬剤も作ってるはず」
「それが手に入れば言うことない…か」
そして2人の視線は原因元へ。もう完璧ビクついている。そんなにビクつくなら最初からしなかったら良かったのに。
「…何すればいいかなんて、言わなくても分かるよね?」
「そこまで馬鹿じゃないことくらい、俺たちも知ってるからな」
「…イッテキマス」
そして殺せんせーは飛んで行った。…とは言え、場所はアフリカ。30分から40分くらいは掛かるだろうなぁ。
「あの、柴崎先生?」
「ん?」
「あ!え、えっと、そっか…こっちが柴崎先生か…!あ、でも中身はこっちが…」
「ややこしいでしょ?ごめんね」
「悪いな」
「い、いえ!2人が悪いんじゃないんで!」
…うん。磯貝くん。気持ちわかるよ。きっと皆そうなんじゃないかな。無表情な柴崎先生(烏間)と小さく笑う烏間先生(柴崎)なんて、天と地がひっくり返っても見ることなんて、しかもこんな近い距離ではあり得ないことだもんね。
とにかく下手に動くのはよそう。となり、僕らと2人はこのE組に。数人の生徒はイリーナ先生の引きとめに。多分、来たら色々ショックだろうし。
「…俺ってそんな顔してた?」
「…いや、俺に聞かれてもな。お前にはどう見えるんだ?」
「……限りなく無表情」
「「「「ブッ!」」」」
どうしたらいい?もう、凄くお腹が痛いよ…!腹痛じゃなくて、笑い過ぎて…!カルマくんもめちゃくちゃ笑ってるし、他の皆も肩震わせて笑ってる。杉野なんて、僕の腕すっごい握って堪えてる。
「…多分、それは俺がお前の中にいるからじゃないか?…あと、」
「ん?」
「……頼むから俺の顔で首傾げるな。夢に見そうだ」
「は?…あ、あー。はは、ごめん」
「……あと、なるべく笑うな」
「……、それすごい難しい」
「堪えろ」
「…頑張るわ」
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