breath 3

「でもやっぱり寂しかったろ?いっぱい甘えて良いんだぞ?」

「大丈夫!だってしーくんがいたもん!」

「「「「あ…」」」」

「…しー、くん…?」

「ん!だから全然寂しくなかった!」

「「「「(止めだ…!!)」」」」


この後の展開が読めている柴崎(もう何度もこの餌食になっている)は、そーっと生達から離れて背を向け立ち去ろうとする。だが、ポンと肩に置かれる手に顔が引きつる。知っている。この後の展開を。




「志貴くん」

「…はい」

「なんで…っ」


ぐりんっと体を回されお互い正面を向く。こんにちはだ。両肩に置かれた手が酷く辛い。もう逃げたい。



「なんで…っっ、っなんで俺じゃないんだよー!!いつもいつもしーくんしーくんしーくんって俺より志貴くんばっかり!!俺に恨みがあるのか!?そうなんだろ!?志貴くん!!」

「縁起でもないこと言わないでください透さん。恨んでなんていませんよ」

「知ってるよ!!志貴くんはイケメンだし美形だし頭良いしかっこ良いし強いし優しいからモテモテなのは知ってるよ!!でもだからってみきを手玉に取らなくたって良いじゃないかーー!!」

「止めてくださいその言い方。手玉なんかに取ってません。後そんな出来た人間でもありません」

「その謙遜さがまた良いって世の女の子達は言うんだろう!?知ってるんだよ全て!!理解しているんだ!!」

「何も理解できてません。世の中そんな甘くないですよ。みきとは何にもないので安心してください」

「志貴くん!その発言はみきになんの魅力も感じないって言いたいのか!?何て酷い!!」

「そんなこと言ってないですよ。被害妄想です」

「じゃあやっぱりみきを想っているんだな!!娘は志貴くんにはやらん!!」

「あーもー面倒臭い人だな…」

「くそっ!これだからイケメンは……っ!!イケメンは爆ぜろ!!」

「…お願いですから毎度毎度俺を巻き込まないでください…疲れます…」







「怒涛だな」

「嵐だ」

「いや、台風だ」

「ハリケーンかもよ」

「てか温度差よ」

「プラスとマイナス過ぎるだろ」

「扱い慣れてんのな」

「というよりは対応し慣れてる感満載」

「まぁ、何にしたって…」

「「「「みきちゃんのお父さんの言うこと当たってるよ…」」」」





「ママ、パパ何してるの?」

「んー、いつもの宣戦布告して自滅してるのよ」

「ふーん?」





「志貴くんの馬鹿!」

「馬鹿でもアホでもなんでも良いのでもう勘弁してください」













そして、そろそろ帰るかと言う時。



「やだー!!しーくんもみきの家に帰るのー!!」

「みき、志貴は忙しい中来てくれたんだからわがまま言わないのよ」

「やだー!!しーくん帰っちゃやだー!!」

「志貴くん…?」

「俺悪くないですよね。だから睨まないでくれませんか」





「最後の最後までカオスだ…」

「あぁ…手の付けようがない…」

「柴崎先生…ドンマイ…」




「やだー!!」

「もう、みき!」

「志貴くん…!?」

「だから睨まないでください。あと凄まないでください。怖いんで」

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