一人行先を間違えた渡り鳥のような


 到着したのは、ザバン市とは比べ物にならないほど大きな都市であった。
 中心部には省庁、金融、名だたる大企業の本社ビルが立ち並び、多くの人種の人が忙しなく行き交う。この大陸一の大都市と言えるだろう。
 ハンター協会のビルは交通局合同庁舎の大通りを挟んで西側の区画に位置していた。

 エントランスを入るとピカピカに磨き上げられた床に、照明が反射して輝きを放っている。
 受付には容姿端麗な女性が二人、ぴっと背筋を伸ばして微笑みを湛えており、彼女たちはネテロ会長を初めとする協会員が近付くと「おかえりなさいませ」と恭しくお辞儀をした。
 受付右奥にはエレベーターホールがあり、これまた広い。左右にそれぞれ5機ずつエレベーターがあり、突当りは大きなガラス張りの窓になっている。
 回数表示は右側が15階まで、左側のエレベーターが15階から32階までとなっている。
 受験生は今晩このビルの18階から20階までの部屋に泊まり、明日最終試験を受ける。ウタの宛がわれた部屋は14階だ。
 ビルの立地、大きさ、従業員数を鑑みても、ハンター協会というのは相当に大きく、権威があり、そして何より稼ぎの良い組織だということが窺える。この世界に来てからありとあらゆる本を読んで知識を得てはいたが、ウタはここにきて改めてハンターという仕事の特殊性と優遇さをその身を持って感じた。
 ウタとハンター協会の一行はまず20階会議室に赴き、そこでさらに特務課から派遣された職員二人と会った。
 最初にザバン市まで来た男同様スーツを着用している。一人は四十代半ばの中堅どころといった感じで、喋り方も表情もだいぶ柔らかい。もう一人は眼鏡をかけた若者で、新人らしい雰囲気である。
 いずれにせよ、オーラの流れから二人とも念能力者ではないことが分かり、ウタは内心安堵した。
 四十代の男の方はネテロ会長を見るなり腰低く挨拶をし、「この間の幻獣の件はどうも、大変助かりました」とニコニコしている。
 その様子を見て、ウタはふと特務課の人間にそもそも念能力者はごく少ないのかもと感じた。特務課の仕事は疫病や未知の生物に対する対策などであるが、それらを“狩る”のは本来ハンターの仕事である。対策の提案、研究は特務課が行い、実際の捕獲や駆除についてはハンター協会に委託している図式が、ウタの脳内に浮かび上がった。
 ウタが男たちとともに特務課の調査室に向かう日取りは、二日後となった。
 明日のハンター試験の最終試験を見届けたいというウタの申し出を快諾してくれたのだった。
 新しく特務課から派遣されてきた男は人当たりが良く、融通も利くが、ウタとしてはより一層監視の目が厳しくなったように感じるのみである。


 その日の夕方、官公庁の施設が連なる区画から一駅移動して、ウタはメンチと共に繁華街へ来ていた。
 せっかくだから外で夕飯を食べようと誘ったのはウタだった。

「あんたの選択はあながち間違いじゃないようね」
 メンチの言葉にウタは顔を上げずにどういうこと?と尋ねる。
 通りの端で店を広げている雑貨屋の前だった。
 往来の激しいこの通りでは、この雑貨屋の他にも食べ物、飲み物、洋服、生地、陶器など様々な屋台が連なっている。
「あの特務課の男達のうち、後から合流した二人に尾行されてるわよ。どうも胡散臭いわね」
 ウタはにこっと笑い雑貨の一つを手に取る。青いタイル張りのコースターのようだ。幾何学模様のような、日本ではなかなかお目にかかれない柄と色彩の組み合わせだった。
「わあ、これ可愛い……、プロのハンターってすごいわね。尾行されていたかなんて私は全然わからなかったわ」
 手には取ったものの、使い勝手の悪そうなそれを、ウタは再び商品の並びに戻す。新聞を読んでいた初老の店主が同じ柄のマグカップもあるよ、と教えてくれた。
「でもこういう話するってことはこちらがどんな話をしているかまでは聞かれていないのよね?盗聴器の類とかも……マグカップも可愛いわ」
 メンチは瞬きを数回し、苦笑した。ウタは店主の出してくれた数種類のマグカップをしげしげと眺めている。
「ははーん、私を夕飯に誘って外に連れ出したのはこのためね。尾行と盗聴の確認をプロハンターにタダでお願いするなんて良い度胸じゃない。安心して、話を聞かれる距離じゃないし盗聴器の類もないわ。私は盗聴器を付けられるようなヘマはしないし、こっちに到着してからずっと一緒にいたウタにも付けられていない」
 マグカップは似た柄だが、どれも少しずつ模様が違う。ウタはじっくり一つ一つを観察した後で、ようやくメンチを向く。
「ごめんなさい、結果としてはそうなってしまったけど利用しようとしたわけじゃないの。でもそれを聞いて安心したわ……、おじさん、この右から二番目のをお願いします」
 ニコニコと微笑むウタにはとことん敵わないなとメンチは頭をかいた。
「それはそうと、お金大丈夫?これからのこと考えるとあんまり無駄使いもできないんじゃない」
 割れないように古い新聞紙で包まれていくマグカップを横目にメンチは尋ねる。
「カモフラージュよ。いくつかのお店で買い物すれば怪しまれないでしょう。本当に欲しいものはあと30m先のお店にあるの」
 なるほど、確かにこの二人の様子を傍目に見ているだけでは、若い女子二人が楽しそうに買い物をしているようにしか見えないだろう。
 メンチは30m先の店に何があるのか目を凝らして確認したい気持ちはあったが、尾行の目を考えてそれは止めた。
「それにお金のことなら心配しないで、借りたお金を元手に30万ジェニーほど増えたから」
 店主からマグカップの入った包みを受け取るウタを、メンチは思わず二度見した。
「増やした?どうやって?」
 ウタの唇が綺麗な弧を描く。
「株よ。さ、お待たせ。次に行きましょう」
「株、ね……」
 簡単そうに言ってのけるが、この世界の企業情報を短期間で一から学び、利益を上げるのは決して容易いことではないはずだ。
 ウタがまずパソコンを買ったのはこのためだったのかとメンチは感嘆のため息を吐く。
 色々と物色しながらも通りを進んでいくウタの華奢な後姿はやはりIQ200の天才には見えない。見えないが、確実に天才だと思えた。彼女はメンチにお金を借りて、そこから一体どうやって生活をし、稼いで、この世界で生きていくのだろうと思っていたが、いらぬ心配のようだった。もうすでにザバン市のサラリーマンの平均月収よりも稼いでしまった。彼女はきっと端から誰かに頼って生きていくつもりは更々なかったのだ。その頭脳一つで生き抜くことを考えている。
「あらっ、美味しそう」
 ウタが立ち止まったこの店が、距離的にも目的の店だろうとメンチは察した。
 店先に並ぶのは、この国には珍しい色とりどりの舶来の香辛料と、南国産の果物であった。ウタはそのうちの一つ、ボコボコと歪な形をした紫色の果物に手を伸ばし、鼻先に近付ける。
「良い匂い」
「珍しいわね、ライオンフルーツだよ。赤道直下の熱帯地域が原産。濃厚な味ながらも後味はミントを思わせる清涼感があって、昔から船乗りの間では酔い止めに利くと重宝されていた」
 すかさず入るグルメハンターメンチの解説に目を丸くしたのは店主である恰幅の良い中年女性であった。
「詳しいねお嬢ちゃん。その通りこれは今日入荷したばかりのライオンフルーツだよ。この国じゃ中々お目にかかれない貴重な品さ。まだ少し青いから、あと三、四日もすれば食べごろになるだろう」
 一つ4千ジェニーもするライオンフルーツの説明を聞いて、ウタは目を輝かせた。
「まあ、それじゃあせっかくの機会なので一つください」
 気前よく購入を決めたウタに、店主の女性は機嫌よく返事した。
「それからオレンジペッパーとシーソルトもください。あ、そうそう、あとハーヨマ港からミナ港へ行く旅客船のチケットを、大人3枚分お願いします」
 すらすらと船のチケットを手配するウタに、これが目的か、とメンチは納得した。
「ミナ港に行くなら断然飛行船の方がお勧めだよ。本数も結構あるし……、うちで取り扱ってる船は旅客船といっても帆船で、それに貨物船も兼ねてる船で航路を選ばないもんだから、揺れるよ」
 店主の女性は親切心であろうが、呆れた顔でウタに説明した。
「揺れることも、時間がかかることも承知の上です。でもどうしても船旅がしてみたくって……、あ、チケットはライオンフルーツと一緒に袋の中に入れてくださる?」
 ウタはニコニコしながらも、抜かりなくそう指示した。
 これなら遠くからこちらの様子を監視している特務課の男達の目にも、ウタがただ異国のフルーツを買っただけにしか見えないだろう。まさかフルーツの袋の中に外国行のチケットが入っているとは思いもしない。
 さらに三人分チケットを買ったのも目くらましのためだ。別の名義で(ウタはこの国の一般的な名前であるキャスリーンと名乗り予約をした)三人分のチケットを予約することにより、このチケットの所有者がウタであるとの発覚を防ぐ目的がある。
(ほんっと、可愛げないくらいに抜け目ないわね……)
 メンチはまじまじとウタを見つめた。
 ウタはこの街のこの通りのこの異国のフルーツと香辛料を扱う露店で、ある特定の旅客チケットがあることをしっかり調べていたのだ。
 彼女の頭の中では、既にシナリオが出来上がっているのだろう。
 心配するだけ余計なお世話であると思い、メンチは彼女の好きなように、行動には口出ししないようにしようと心に決めた。


 そして翌日。ハンター試験の最終試験。
 1戦目のゴンvsハンゾー戦は、ウタの予想した通りの結末となった。
 終始優勢だったハンゾーが、負けを宣言したのだ。ゴンの折れない心、邪気のないひたむきさ、そして真っ直ぐな瞳に会場にいる誰もが魅了されて、ハンゾーが負けを認めたのも理解できるような気がした。
 唯一、納得いっていないのはゴン本人であったが、それも容赦ないハンゾーの拳で気絶してしまった。勝負が決まった後なので結果が覆されることもない。
 まさしくウタの言った通りになったので、メンチとブハラがこちらを窺い見ていた気配を感じながらも、内心ウタ自身もゴンが合格したことに安堵していた。
 続く試合はヒソカvsクラピカだ。
 ヒソカの圧勝だろう、とウタを含め見ている者は予想した。
 しかし初戦と同様ギャラリーの期待を裏切結果となる。
 しばらく接戦(のように見えるが、ヒソカの表情からは余裕が窺えた)を繰り広げた後、ヒソカがクラピカに何事かを呟いた。クラピカは一切表情を崩さずに、何とその後ヒソカが負けを宣言したのだ。ヒソカが軽く負けを宣言した後も、その無表情は変わらなかった。
 感情を殺すその顔が、皮肉なことによりクラピカの人間らしさを際立たせているとウタは感じた。
 何か取引を持ち掛けられたのだろう、とはウタでなくても安易に想像できることだった。
 その後はハンゾーvsポックル戦、ヒソカvsボドロ戦と続き、それぞれハンゾーとヒソカが勝者となった。前二つの試合とは異なり、両者とも手加減なく、圧倒的な力の差を見せ付けたうえでの勝利となった。
 その次のレオリオvsボドロ戦はボドロの怪我を理由にレオリオが延期を申し出た。
 それが受理された次の試合はキルアvsポックル戦だがそれも行われない。開始と同時に、つまらなさそうだからという理由でキルアが負けを宣言したのだ。

 そして行われるキルアvsギタラクル戦。
 実力未知数の針男が一体どんな戦いを見せるのか、ウタも固唾を飲んで見守った。
 開始早々、ギタラクルはするりと頭部の針を一本引き抜く。
 ぐにり、と肉が動く不快な音が聞こえた。
 次の瞬間、ギタラクルの顔がベコベコとへこみ、へこんだかと思うと歪み、またへこみ、を繰り返して乱暴にその形が変わっていく。その間、骨が軋む音と肉が叩きつけられるような音が鳴り響き、ウタは思わずゾッとして口を押えた。
 変化を終えたギタラクルは機械的な針男ではなく、腰まで伸びた黒髪が印象的な、長身の青年になっていた。艶やかな黒髪とは対照的に肌は病人のように白い。瞳はどこまでも深い漆黒だ。世界の大多数の者の瞳は暗い色をしており、通常黒と思われる日本人の瞳の色も実は暗い茶色である。しかし彼の瞳は一切混じりけのない、真っ黒、黒一色なのだ。その真っ黒な瞳は大きく猫目であり、本来幼さや若々しさを感じさせるそれと彼の無表情がちぐはぐで奇妙な印象を与えた。
「……っアニキ…!」
 緊迫した声を発したのは対峙したキルアであった。
 普段の生意気な彼の様子からは程遠く、目は驚きと恐怖に見開かれ、緊張から発汗しているようである。
 どうやらギタラクルはキルアの実の兄であり、変装しギタラクルと偽名を使いハンター試験を受験していたようである。もはや念を使えることは、一目瞭然であった。
 二人の会話を、他の受験生が息を潜めて聞き入る。
 話を聞くに、ギタラクルの本名はイルミ=ゾルディック。暗殺一家の長男であり、仕事の都合でハンター試験を受験した。三男であるキルア=ゾルディックは家族を刺して家出し、ついでに様子を探っていたのだという。
 この世界に来てから読んだ本の中で、伝説の暗殺一家の話を目にしたのをふとウタは思い出した。てっきり都市伝説的な、架空の家族の話だと思っていたのだ。
 暗殺兄弟二人の対話は、キルアはハンターに向いていない、友達なんかいらない、果てはゴンを殺す殺さないまでに発展していた。
 途中いかにも情に厚そうなレオリオが激高寸前の様子で口を挟んでいた。
 皆がハラハラと成り行きを見守る中でウタは興味深く、しかし冷静に二人を観察し、思考した。
 伝説とまで呼ばれるゾルディック家。所在は本の中でも明らかにされていたがその場所は広大な山そのものであり、てっきりウタはオカルト的な信憑性の薄いものだと思っていた。が、現実はそうではないのだ。
 きっと山そのものが家族の所有地であり彼らは堂々と暮らしている。顔写真にすら懸賞金が掛けられる幻的な存在でありながら、依頼を受け、仕事をこなし、しかし決してその素性が明かされることはない。警察的組織に捕まることもない。
 情報の制限と一級のセキュリティがあれば、それが可能なのだ。
 この世界で逃げ回り、隠れて生きていくことを覚悟していたウタに、ゾルディック家の存在はとても興味深かった。
(やり方次第では、どうとでも生きていける)
 もちろん、ウタに彼らのような強さも、暗殺能力も、財力もない。
 ないが、この頭脳はある。そして既に株で儲けをあげたウタにとって、お金を稼ぐことはそんなに難しいことではなかった。

「……参った、俺の負けだ」
 降参の意志を示すキルアの声は情けない程に弱々しかった。
 声をかけて励まし続けたレオリオとクラピカは愕然とした顔をしていた。
(完全に自我を失った表情。自身の欲求と人間関係を抑圧された無気力感)
 ウタは冷静にその様子を観察する。
(意識はほとんどここにはなく無意識にも近い――、一種の洗脳)
 ゾルディック家の実態は知らないが、キルアの教育についてある種洗脳のようなものが行われていたことをウタは推測した。
 ひょっとすると、キルアはこの後誰かを殺すだろう。そして不合格になるというシナリオか――。キルアから目を離し会場を再び見回したところで、ウタはギクリとした。
 キルアの様子に注がれていた皆の目だが、ヒソカだけはウタを見ていたのだ。
 冷静にキルアとイルミを観察する、ウタを観察していたのだ。その顔にあの不気味な笑みはなく、冷静な様子なウタをただ探るような面持ちで、しかし不思議そうに見つめていた。
 思考の波に乗っていたウタは冷静に観察しすぎたか、と自身の行動を反省しヒソカからパッと目を逸らした。

 そして迎えた最終戦。
 レオリオvsボドロ戦が始まってすぐに、事は起きた。
 キルアがボドロを殺害したのだ。
 トリックタワーで見せたように、一突きであった。だがあの時のような人を食ったような笑みはなく、感情も生気もまるでない人形のような顔をしていた。
 その不気味さに誰一人近づける者はおらず、キルアは返り血を浴びたままで試験会場を後にした。きっと、ゴンがいたなら間違いなくキルアを呼び止めて連れ戻しただろう。
 転がったままのボドロの死体と、見る間に広がっていく血の水だまりをちらりと一瞥し、ウタは両手で口を押えて座り込む。
「おい、大丈夫か?」
 すぐに気づいて声をかけてくれたのはレオリオだ。
 ウタは声を出さずに首だけで頷く。
「いきなりこんなことになっちまったからな…、見なくていい。そのまま外に出よう」
 本気で心配する優しい声に、ウタはほんの少し罪悪感を感じた。
 そのまま俯き口を押えたままで、レオリオに促されるままに会場となった部屋を出る。
 エレベータで二十階まで下り、医務室へと入ると常駐する看護師に経緯を話し、休ませてくれるようお願いしてくれた。
 レオリオはしばらくウタに付き添い、とりとめのない世間話をした。
 レオリオの故郷の話や友達の話。この季節の美味しい食べ物や近所の猫のことなど、本当にとりとめのない話題ばかりだったが、恐らくウタを気遣ってのことだろう。
「もう大丈夫です、……ありがとう」
 ウタは目を細めて微笑んだ。
 彼の優しさに感じる罪悪感は相変わらずだったが、単純にレオリオとの会話は楽しかった。
「そうか、じゃあ俺は会場に戻るぜ。ゆっくり休めよ」
 医務室から出ようとしたレオリオは最後に思い出したように振り向き、「きっと色々な事情が重なっただけでキルアも悪い奴じゃないんだ……、ダチとして、それだけは言い訳させてくれ」と言い残して去って行った。
 情に厚い、つくづく“いいひと”なのだと思った。

「もうすっかり落ち着いたので、私も戻ります」
 レオリオが医務室を出て間もなく、初老の看護師にそう告げると、ウタもさっさと医務室を後にした。
 足早に向かった先は2階上の図書室である。 
 1フロアの半分程の面積のこの部屋にはウタの他に数人の利用者しかおらず、閑散としていた。ウタは図書室に入ってすぐの公共パソコンが並ぶスペースに移動し、そのうちの一つを操作した。インターネットを開き、飛行船の予約サイトにアクセスする。
 静寂が広がる図書室で、新たに誰かが入ってくれば分かるこの位置で、ウタは堂々と航空券を予約した。
 すべての操作が終わり、見上げた窓は室内外の温度のためか結露して曇っている。
 冬も本番のなろうかという季節の中、ウタは一人行先を間違えた渡り鳥のような気分で、しかしどこか期待に浮足立っていることも確かだった。




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