ずっと燃え続けていることを


 五丁目は古い住宅地が多かった。だからか、今歩いている通りもモモカにとって馴染み深く、ペインによって破壊される以前のそのままの風景だ。この通りが何度も通った道だからというのももちろんあるだろう。
 郵便局の前でモモカは立ち止まる。古い住宅地の中の小さな郵便局だ。そしてそのはす向かいに建つ薄墨色の建物に目を向けた。コンクリート造りのどこか陰気臭い不動産屋で、あの店舗の軒先でよく暇を潰したものだった。
「……ここって」
 カカシがあからさまに気が乗らない声を出した。
 その反応から、この不動産屋の親父が裏組織との繋がりが噂されていることも、それ故に里に警戒されつつも黙認されている図式もこの頃既に出来上がっていたことが伺える。
 薄汚れたガラスの押戸を開けて中から若い忍が出てきた。若いが、良い体格の男だ。機嫌よく店から出てきたその男はすぐにモモカとカカシに気が付き、咥えていた煙草をぽろりと落とす。
「……げっ、なんでお前が」
 髭さえないものの、既にモモカの知る体格に近い。男は、カカシからさっとモモカに視線を移し顔をしかめた。
「……アスマさん」
 口に出してその名を呼ぶと、一気に彼との思い出が蘇ってきた。
「誰だ、その別嬪さんは? 何の任務だ?」
 警戒心を露わにしてアスマが尋ねる。姿形は確かにモモカの知るアスマとほぼ変わらないのだが、やはりその表情や声の張りには若々しさがあった。
「任務だけどお前に関するものじゃあないよ。ここに来たのもたまたまさ――だからお前がここで何してたかなんて聞かないさ」
 呆れた顔でカカシが答える。アスマが素直に不動産を探しにきたわけはなく、ここの店主と何かしら後ろめたいやり取りが行われていたのは間違いない。変に知ってしまえば、カカシも上に報告せざるをえなくなるのだろう。
「いや別に、裁かれるようなことは何もしてねえぜ」
 カカシの言葉に肩の力を抜きながらも、アスマは抜かりなくモモカを観察していた。
「……あ、そ」
 カカシは詮索しないと決めているらしく、間延びした返事をする。
「で、このお姉さんは?」
 自らの悪だくみが槍玉にあがっているわけではないと知ると、途端にアスマの興味はモモカに移った。
「ちょっと訳あって行動を共にしているくノ一だけど……こっちは任務だから、言えないよ」
 カカシの説明にアスマはモモカを上から下まで不躾に眺めまわした。青臭いエネルギーに満ち満ちた顔つきだ。この年代の青年に特有の、怖いもの知らずの全能感がアスマからはひしひしと感じられた。
「モモカです。よろしく」
 差し出した手を、アスマは一瞬戸惑いの顔で見たが、すぐに握り返してくれた。若く猛々しいアスマのエネルギーがモモカに流れ込んでくる。

(俺の調査じゃないのか)
(里の外に俺が出ていこうとしていることがばれたのかと)
(しかし何の任務なんだ)
(美人だ)
(だが一筋縄ではいかなそうな女だ)
(カカシは大丈夫なのか)
(親父はまたきな臭い仕事をさせてるんじゃねえのか)

「どーも、モモカさん。俺はアスマだ……ま、俺のことは何故か知ってたみたいだがな」
 それとなく、見知らぬ女が何故自分を知っていたのかアスマは皮肉交じりに探りを入れた。アスマの逞しい手は体温が高い。背はモモカよりもずっと高く、反抗心に溢れた心の内とは裏腹に大人顔負けの体格をしていた。そういえば、トウキが大人達の背を抜かしていったのもこれくらいの歳の頃だ。里への反骨精神も、確かにこのくらいの頃が一番尖っていた。
 モモカは思いがけずアスマの中にトウキの面影を見出して、微笑んだ。予期せぬ柔らかな表情にアスマは面食らった様子だった。
「ごめんね、彼の言う通り詳しいことは説明できないんだけど」
 懐古的な切なさに捕らわれてモモカは目を細める。アスマもカカシも、繊細な睫毛の影に思わず見とれた。
「よろしく、今後……色々と」
 この里をよろしく。カカシさんをよろしく。あるいは、未来へ羽ばたく命を、その愛おしさを、次の世代へとつなぐことを。
 モモカの“よろしく”の意図など掴み切れずに、アスマは困ったように頭を掻いた。
「不思議な人だなぁ……」
 アスマはふと笑うと、悪戯っ子の顔でカカシに目配せする。
「な、これから一緒に飯でもどうだ? 昼飯はまだだろ? よければこのお姉さん……ええと、モモカさんも」
 不思議な雰囲気を纏うモモカに興味が湧いたのかアスマは提案した。それは半ば怖いもの見たさかもしれない。カカシは小さく息を吐いた。
「残念だけど完全なプライベートでいるわけじゃないからさ――」
 ここで、見計らったかのようにモモカの腹が鳴った。
 誤魔化しのきかないくらいに盛大に鳴るものだから、わざと鳴らしたのではないかとカカシが疑うほどだった。数秒遅れてアスマが吹きだす。
「いいじゃん、決まりだな」
 美人の腹から鳴る盛大な音に虚を突かれたものの、アスマは快活に笑ってみせた。

 一行はモモカの提案で五丁目の定食屋へ足を延ばす。モモカの懐具合の都合から、若い忍達の腹を満たせる飯屋にそこしか心当たりがなかった。
 道すがら、カカシがモモカの横に並ぶ。咥え煙草で先頭を行くアスマは二人のことはこれっぽっちも気にかけない様子でどんどん先を歩いていた。あるいは、気にかけないふりをしていた。無論、モモカはカカシがまたしても呆れていることも、何か物申したいのだろうということも理解していた。豊かな銀髪が揺れて、表情はいつも通りの読めない飄々としたものだが、そこには過去のしがらみや未練は感じられない。
「あんたって、よく分からないな」
 口布越しでも、カカシの口角があがったことをモモカは見逃さなかった。
「……また、笑ってくれたね」
 モモカの嬉しそうな声音に、カカシはバツが悪そうに眉をしかめる。
「そりゃ……、あんだけ盛大な腹の音を聞いたらさ」
「そっか」
 案外カカシの言葉には棘がなく、モモカは晴れやかな気持ちになった。些細なことでもカカシが笑い、素直にそれを受け入れたのだ。だからか、つい思いついたことが口を衝いて出てしまった。
「もしかしたら、私は君を笑顔にするためにここに来たのかもね」
 モモカの言葉に、カカシは足を止める。驚きと、呆れと、反発心がないまぜになった顔だ。
「……はあ?」
 カカシの声は大きく響き、前を歩くアスマが振り向いた。
「あんた、頭大丈夫か」
 カカシが心底呆れた声音で聞くものだから、モモカは口を噤む。そのつもりは全くないのに、うっかりすると年若いカカシを口説くような口振りになってしまうのは改めなければならない。

 五丁目の定食屋は質よりも量を売りにしているような昔ながらの店で、既にモモカの行きつけになっていた。しかしこの時代、年若い女将は当然モモカのことなど知らず、モモカを初めてこの店に連れてきた当の本人達ですら、ここを訪れたことは未だないのだという。
「へえ、あんまこっちの地区は来たことないから知らなかったけど……メニューは多いし穴場だな」
 席に着くなりしげしげと店内を眺めまわすアスマに、昼時は相席になるほど混むのだということをモモカは申し添えた。この辺の土地勘があるモモカを、アスマは興味深そうに眺めた。
 モモカはかけそばを、アスマはかつ丼を、カカシは焼き魚定食を頼んだ。そして皆でつつけるようにと、唐揚げと餃子をアスマは頼み、さらにアスマもカカシもご飯を大盛にしていた。
「ここ、量多いけど大丈夫?」
 十五年後の彼らの食事量を思い出しモモカは心配になった。カカシは普段から大盛など頼まないし、アスマは食い気より飲み気が勝るタイプだ。
「誰に言ってんの、育ち盛りよ? 俺ら」
 からりとアスマは笑った。咥えた煙草はあどけない顔立ちとちぐはぐな印象を与えた。
 やがて白髪の一本もない初々しい女将が料理を運んでくる。
 若い二人の忍達は、モモカの心配などものともせずに気持ちのいい食いっぷりを見せた。かえって同化の力をあまり使っていなかったモモカの方が食が細いくらいで、利いた風に注意した手前きまりが悪かった。
 勢いよく食事を平らげながらも、アスマはモモカにあれやこれやと質問をした。質問の内容は出身、年齢、戦績、得意な忍術から、配偶者の有無にまで至った。
「木の葉の出身だよ――年齢は二十一……えっ見えない? そうかな? ――詳細には覚えていないけど、単独でAランク任務は任されているくらいの成果はあげていたけど――得意忍術かあ、体力はあんまりない方で――かといって幻術とかの複雑な術もからきしだから近距離の方が得意かな……性質変化は火と雷で――配偶者? いないよ……え? 付き合っている人?」
 何も全ての質問に馬鹿正直に答える義務などないのだが、モモカは答えに詰まった。付き合っている人なら、いる。はたけカカシという男だが、この時代では十六歳の、目の前に座るその男の名をまさか口にすることなどできない。
「……あー、大切な人なら、ね。いっぱいいるよ」
 あえて男女関係に絞らずに、曖昧にモモカは答えた。つまらなそうな顔でアスマは煙草をふかす。かえってモモカの方が、興味をそそられた。
「君たちは?」
 アスマはぷかり、煙とともに小さな笑いを吐き出した。
「俺の方から聞いといてなんだけど、あんたも凄腕の忍だというなら、惚れた腫れたに一喜一憂できるような余裕があったかどうかくらい分かるだろう?」
 アスマの嘲笑はモモカの素性を怪しんでのことだろうが、モモカはその言葉を額面通りに受け取って真剣に考えた。つい数年前まで戦線に駆り出されていた彼らに、悠長な男女関係を楽しむような余裕があったかなど、明白である。アスマはまだこの時、紅に特別な感情を抱いていなかったのかもしれなかった。定食を食べ終えたカカシが細かい骨を皿の端に寄せていたが、耳だけはしっかり二人の方を向いている。カカシが焼き魚を食べ終えた後の皿は、見本のように綺麗だった。
「じゃあさ、君達にとって、玉は誰?」
 モモカの質問にアスマを顔をしかめる。
「そりゃあ、火影だろう」
 言った後に、アスマは忌々し気に舌打ちした。木の葉の忍としてごく当たり前の考えを、自然と吐き出していた自身への嫌悪感と偉大な父への反抗心がそこにはあった。
 里への疑問。忠義と自由。自らの手で、何かしらの答えを出したいという若者特有の葛藤。何から何まであの頃のトウキそっくりで、アスマがトウキを気にかけていたのも頷ける話だった。
「もしさ、幸せな夢を見続けられるとしたら、どんな夢を見たい?」
 続く質問に、より一層アスマの眉間の皺は深くなった。
「悪いが、禅問答みたいなのは趣味じゃないぜ」
 アスマは灰皿に煙草を叩きつけるようにして灰を落とす。食後の茶をすすっていたカカシがわざとらしく湯飲みを置いた。
「あのさ、どんな回答を期待しているのか知らないけど、無意味な問答をしている暇があるならそろそろ行くよ。今日一日さんざん付き合ってあげたし、そろそろ報告に行かないと」
 カカシの掴みどころのない顔をモモカは見つめて、黙って頷く。気乗りしない話題を上手く避けられたと思った。
 幸せな夢など考えもつかないのだ。三度の大きな大戦と、いくつもの小競り合いと、そして三年前の九尾事件を経て、この里の若者は疲弊しきっていた。
 夢、など見る暇すらない。子供が子供でいることの許されぬ激動の時代。
 その後の、モモカ達やさらに下のナルト達の世代は、子供でいられた。子供でいることを許されていた。それを必死になって作り上げてきた上の世代の、幸せな子供時代を犠牲にして、平和は築き上げられてきたのだ。

 アスマと別れ、モモカとカカシは三代目火影の元を訪れる。元よりカカシはそのつもりだったのだろうが、モモカの好きなように行動させてくれ――言い換えれば泳がされたとも言えるが――モモカの上げた成果の報告と、次の任務を受け賜りに行くのは、果たすべき義務で、よくできた流れであった。
 先日と変わらず燦燦と日の差し込む火影室で、モモカの整備した平屋の報告を受け、三代目はそれらしく頷いた。
 モモカが次に言い渡されたのは、またしても長屋の整備と、引っ越し作業の手伝いだった。次に整備するのはつい今朝がた整備を終えた長屋と同じ地区の、三区画南側にある家屋だ。そしていよいよ、旧孤児院から一部の孤児が移るから、その引っ越しに付随する作業を手伝わなければならない。
「して、どうじゃ? 里は」
 三代目は見定めるようにモモカに尋ねた。
 どうと聞かれても、勝手知ったる里だ。しかし、それでいて知らない里だ。懐かしい故人を何人も尋ねた。一言で言い合わせるものではない。
「いい里だとは、思います」
 どこか含みのある言い方になってしまった。三代目はあまり気にしていないようだった。
「私は、子供でした。子供でいられた」
 カカシとの会話を繰り返すようにモモカは言った。
「何も知らないのん気な子供だった。そうさせてくれたのは、激動の時代を生き抜いてきた先人たちが勝ち取ったものだとまざまざと感じました」
 モモカは急に焦燥感が湧くのを感じた。必死で戦った末に勝ち取ったものが未来の平和であるならば、何が何でも勝たなくてはならないのだ。知っていたはずだった。勝たなければ何も守れないと。モモカは第四次忍界大戦の真っただ中から来たのだ。まさしく世界の命運の分かれ目という時に、こんなところで油を売っている場合ではない。皆が、カカシが、ナルト達が、命懸けで戦っているのだ。
 モモカはふと、里の英雄の所在が気になった。彼は孤児だが、孤児院に入っていたという話は聞いたことがない。
「ナルトって、今は何を」
 モモカの素朴な問いかけに、ヒルゼンは意外そうにくいと片眉を上げた。
「件の子か」
 カカシが呟く。偉大な四代目の息子としてではなく、あくまで九尾をその身に宿す存在として認識していることが、少なくとも周囲にそう認識させていることが伺えてモモカは気分が悪かった。
「生まれてすぐに、父母を亡くしているのでしょう。九尾の人柱力となって」
 モモカが人柱力の存在を知っていることに、三代目もカカシも驚く様子はなかった。この里ではトップシークレットであるそれを、モモカが知っていることは想定の範囲内みたいだ。
 成長したナルトの飾り気のない笑顔を思い出してモモカは下唇を噛む。誰が世話をしているのだろうか。モモカが気が付いた時には既に里でも有名な悪ガキで、そしてアカデミーの教師以外の大人といるところなど見たことがなかった。まだ、この時代では三つになるかならないかくらいのはずだ。
「孤児院には諸般の事情により入れないのでな。元々両親が住んでおった部屋で暮しておる。とはいえまだほんの子供じゃて……世話係の乳母が何人かおる。その者たちが代わる代わる、面倒を見ている」
 一人で暮している――代わる代わる――。モモカは口の中で反芻した。
「その乳母達は、確かな愛情を注いでいるのですか?」
 モモカの重なる質問に何かを察知したのか三代目の目つきが鋭くなる。
「愛情、など一口では説明の出来ぬものであるし、証明も出来もせぬものじゃが」
 モモカは真っ直ぐに三代目を射抜いた。
「私には……、忌み子のような扱いに聞こえます。疎ましく思う大人に育てられる子供がいることを黙認しているのですか? 自身の咎ではないことで孤独に苛まれる子供が生まれることを、この里は是とするのですか? あなたの考えはまるで――」
 モモカは少し迷って言葉を切った。ここまで物申してとっくに無礼は過ぎているのだが、老獪な目の前の人物を前にするとどうも言葉に詰まってしまう。本来、甘すぎるほどに優しい心根を持った男が海千山千の統率者になったのは、それなりの理由がある。多くの犠牲と痛みが彼を賢く、したたかにさせたのだ。それを急に理解してしまって、モモカは気後れした。
「仕方がないだろう」
 ただモモカを見据えるばかりの三代目に代わりカカシが答えた。
「……仕方ない? 本気で言ってるの?」
 モモカは信じられない気持ちを前面に押し出して聞き返す。悪びれもせずに立つ若い忍を睨んだ。モモカの剣幕にたじろぎもせず、カカシは無表情でわずかに肩をすくめるのみだ。それが余計にモモカの怒りを増長させた。
「守り慈しんでくれるはずの同胞からの冷たい視線に晒され、孤独に追い込まれる苦しみを――その孤独がもたらす結果を――あなたが知らないはずがないでしょう?」
 行き過ぎた言葉だという自覚はあった。カカシの父親を指して言っていることは明らかである。
 カカシの表情に変化はほとんどなかったものの、その瞳には傷ついた色が見て取れた。それでも、出してしまった言葉は戻せないし、取り消すつもりもなかった。
 カカシは目を伏せる。色素の薄い睫毛が心許なく震えて、その奥の幼気な瞳が揺れ動く。
「知ったような口を利くなよ」
 言い返すカカシの声は強く突き放す響きを伴っていた。
 モモカは俯くカカシを凝視する。
 別人だ、と十六歳のカカシを見てモモカはそう感じた。モモカの知っている成熟したカカシに至るまでにはいくつもの試練と地獄があって、まだその過程にいるこの少年は、モモカの好きになった男とは、今はまだ別の男なのだ。
「これこれ、無益な言い争いをするでない」
 傍観していた三代目が見かねて口を挟んだ。カカシは目を伏せたままで微動だにしなかった。好きな男を、それも年端も行かぬ男を、傷つけてしまった後悔が静かな波のように押し寄せる。
「よいか、里の者は皆等しく大切なワシの家族じゃ。無論、ナルトを“九尾の化け狐”として見る大人達の言動にはあの子を追い込むだけの敵意が含まれていることも承知しておる。しかし、皆が皆、あの子を拒否しているわけではなく――痛みを乗り越え、受け入れようとしている者も、少なからずいる――そう、ワシは信じておる」
 老い故の陰りは否めないが、その表情に諦めの色は全く見えず、モモカは押し黙った。
「……出過ぎた発言をしました」
 モモカも目を伏せ、しおらしく頭を下げる。
「いや、謝る必要はない。お主の言うことは尤もじゃ――顔を上げるがよい」
 言われるがままにモモカは頭を上げたが、目線も気持ちも伏せたままだ。カカシもモモカも暗い瞳をして、暗鬱な空気が火影室を満たしていた。
「さ、話は済んだ。お主の方からもこれ以上の質問がないようなら帰って次の仕事に備えるがよい」
 ナルトに関するやり取りを意に返さぬ様子で、穏やかに三代目は言った。全てを背負い込む覚悟がこの時既に――いや――もうずっと、モモカの生まれるよりも遥か昔からだろう――三代目の中にずっと燃え続けていることを今更ながらにモモカは痛感した。



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