お巡りさん、こちらです






「皆ー、連れてきたよー」

『ぎゃっ』

「みょうじほかーく!」

この人たちに引きずられながらの道は険しかった
だって!だって女の子たちの目が!あれは人殺しの目だよもうやだああああ
その上、なんか部室の中に勢いよく放り投げられたし。なんなの君ら!!

「さすがぶちょーっす!」

「今回は俺らの手柄でもあるんだぜぃ!」

「みょうじを引き止めるのはキツかったナリ」

『ま、また拉致られた‥』

普通に考えて犯罪じゃないですかね、これ
すみませんお巡りさーん、この人たち捕まえてくださーい

「何言ってるんだい、部活をサボろうとするから連れてきただけだろう」

「なぬ!?サボろうとしたのか!」

あの、私が入部するってあたりから詐欺ですよ詐欺気付いて真田くん!
私、一回も男テニのマネやるだなんて言ってませんからね


「じゃあみょうじ、こうしよう」

『はい?』

「2日、体験入部っていうことでどうかな」

え、なにそれどういう意味ですか、幸村くん

「確かにちょっと強情すぎるから、考える時間をあげるよ」

綺麗過ぎる笑顔で、彼は続けた

「今日は見てるだけ
でも、月曜は朝練から来て、ちゃんとマネをやってもらう
それで、本当にマネをやりたくなければ、俺たちは諦めるよ」

「そうですね‥そちらの方がフェアかもしれませんね」

柳生くんが眼鏡を押し上げながら、良かったですね、と言った
うん、良かったけど結局はやらされるんだね
しかも本当に強制入部させようとしてたとか、洒落にならん

「ただし、」

ちょっと安心して余裕が出てきたと思っていたら、急に幸村くんが真剣な顔で口を開いた
なんだ今度は

「本気で考えること。これだけは守って
俺たちは、みょうじを本気でマネにしたいって思ってるから」

その鋭い眼差しに、射抜かれた気がした
目が釘付けになる
そして私は反射的にこう答えてしまった


『わかった。本気で考えてみる』


ここまできたら、迷って悩んで導いてやる


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