注意

スマホゲー、DFFオペラオムニア時空のおはなしです。
他サンクレッド夢と同じヒロインです。







「アリゼー!!」

遠くから声がした。振り返り、久しぶりに目にするその顔に心から安堵した。

「メリー!」
「良かった、やっぱりアリゼーだぁ」

疲労の残った笑顔を見せる彼女に駆け寄り、思わず抱き着く。
しっかりと応えてくれる暖かさに、胸がいっぱいになった。

「なんだなんだ?アリゼーの知り合いかい?」
「感動の再会だねぇ」

遅れて寄ってきたジタンにビビ、そしてモーグリ。
彼らに気づいた彼女は恥ずかしそうに離れた。

「アリゼー、この人たちは?」
「この世界での仲間よ」
「・・・この世界?」

表情が一瞬にして曇る。その場にいる仲間を一通り一瞥し、最後にモーグリを怪しそうに見つめる。

「この人からも光の意思を感じるクポー!」
「どういうこと?」
「それは説明するクポー」
「待って」

アリゼーの制止に皆が驚き視線が集まる。

「私が説明するわ。ちょっと2人だけで話したいの」

腕を引っ張られ、そのままその場を離れた。


「どうしたのかな」
「何か秘密の話でもあるんじゃないか?」
「気になるクポー・・・」
「まぁいいさ。アリゼーの仲間ってことは、ヤ・シュトラたちの仲間ってことだよな。呼んでこようぜ」



「メリー、落ち着いて聞いてね」
「う、うん」
「この世界は、いろんな世界から光の意思を持つとされる人が集まっているらしいの。違う世界から来た人もいれば、他の暁のメンバーもいるわ」
「本当!?良かった誰もいないから心細くて・・・」
「あのねメリー」

深刻な顔をしたアリゼーを見て言葉を詰まらせる。何か嫌な予感がする。

「同じ世界の、別の時間から呼び寄せられていることもあるみたいなの」
「同じ世界の別の時間・・・」
「確認だけど、あなたが私と最後に会ったのは何の時?」
「えっと、みんなでお茶会したとき・・・」
「そう、なら私たちはさほど変わらないみたいね。私たちが今確認している範囲では、暁の他の人たち、ヤ・シュトラ、サンクレッド、イダ、パパリモがいる」
「・・・パパリモ?」
「そう」

鼓動の音がやけに耳につく。

「見たら分かるわ。怖くて確認できてないけど、私のことをアリゼー様と呼ぶし、格好は昔のままだし・・・だからもしかしたら、あなたとの冒険も一部はまだ起こっていない世界から来たのかも」

もしくは全部。恐ろしくて口には出さなかった。
彼女の表情はいつになく冷静に見える。

「そっか、分かった。まずは向こうの出方を伺ってみればいいんだね」
「えぇ・・・」

落ち着いて答える彼女が妙に怖い。



「お、来た来た」

二人が戻ってくるのを待ち構えていた暁の面々。
メリーは皆を見渡す。瞳の緑色が眩いヤ・シュトラ、姉の仮面を被ったイダ、仏頂面だが元気そうなパパリモ、そして・・・サンクレッド。

「私たちの知り合いかもと聞いたのだけど・・・」
「アリゼー様、じゃなかったアリゼー。そちらの美しい女性は君の知り合いかい?」

いちばん残酷な結果が訪れてしまった。
おそるおそる彼女を見れば、相変わらずのすました表情。

「そう、アリゼーの親友だよ。はじめまして、私はメリー」
「なんだ、てっきり皆知り合いなのかと思って連れてきたけど・・・なんか悪かったな」
「ジタンは悪くないから気にしなくていいわ」

悪いのはこの世界に彼女を連れ出した神様か。
アリゼーは悔しまぎれに宙を見上げた。


「メリーか、とても美しい名前だ。はじめまして、私はサンクレッド。君みたいな綺麗な女性に出会えて光栄だよ、メリー」

知らないというのはこんなにも不幸なことだったのか。
彼女はサンクレッドをじっと見つめている。

「おや、もしかして見惚れているのかい?」
「サンクレッド・・・いい加減に・・・」
「・・・あなたは」

口を開いた彼女の言葉をおそるおそる聞く。

「あなたは、そうやっていろんな女性に声をかけているの?」
「ほーら言わんこっちゃない」

イダとヤ・シュトラが呆れてみせる。
それだけ言って彼女は、ひとりで先へと歩き出した。
その姿を呆然と見つめるサンクレッド。無言で見送るその場の皆。
言葉に込められた気持ちが痛いほど理解できたのはアリゼーたったひとりだけだった。

「・・・サンクレッドのバカっ」

アリゼーは小さく吐き捨てて彼女を追った。
ジタンがサンクレッドの肩をポンと叩く。

「ドンマイ」
「俺は・・・」


いつもの通り軽くあしらわれた、それだけの話なのに。
彼女の、なんでもないようで悲しみに満ちた声が、姿が。
不可解にも胸にこびりついてしまったのだった。



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