石の家に出向くと、いつも以上に笑顔の彼女が声をかけてきた。

「あ、シュトラ、おはよう!」
「おはようメリー。良かったわね」
「えっ?」
「サンクレッドのこと。うまくいったんでしょう?」
「なんで知ってるの?」
「見たらわかるわ。そんなに幸せそうなんだもの」
「でもさ・・・ねぇ、シュトラ、サンクレッドの好きな人って知ってる?」
「え?」
「好きな人いるって言ってたのに、私と付き合って良かったのかなぁって」
「メリー・・・全くあなたって子は」
「なに?」
「サンクレッドの好きな人、決まってるでしょう、あなたよ」
「えっ?まさか・・・」
「否定されたの?」
「されてない・・・」

『俺はお前が思ってる以上にお前のことが好きってことだ』

ぼふん、と音が聞こえてきそうなくらい、見る見るうちに赤面する彼女。

「あらあら、顔が真っ赤よ、メリー」
「そんな、私どうしたらいいんだろう」
「ふふ、彼のところに行きなさい」
「そうする・・・ありがとう、シュトラ」

微笑みを返せば、彼女は彼の元へと走ってゆく。

「やっとくっついたの?あの二人」
「あらアリゼー、盗み聞きとはいい趣味ね」
「こんな所で話してたらそりゃ聞こえるわよ。だけど吹っ切れたみたいで良かった」
「えぇ。まぁ最初から心配する必要はなかったのだけどね」

自分が戦いのために戦ってるのだとしたら、何かきっかけがあったら自分は寝返ってしまうのではないか。
そんなの、寝返った結果私たちを傷つけてしまうことを恐れている時点で詭弁にすぎないのに。

「サンクレッドに手を貸したってこと?」
「メリーだって自覚してなかっただけであの子たちずっと両想いだったわよ。まぁ確かに、やっと、ってところかしらね」

高地ドラヴァニアで彼と再会できたときの彼女の、安堵と心配と歓喜の入り混じった表情を思い出していた。



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