「俺はずっと、お前はオルシュファン卿のことを好きなのだと思っていたぞ」 そんなことが言いたいんじゃないだろうに。 「オルシュファンのことは、確かに大好きだったけど」 ほら、予想通りの答えに胸がちくりと痛む。 「未だに後悔してるし、夢に見て飛び起きることもあるけど」 アルフィノが、言いにくそうに当時の様子を、彼女の取り乱し方を伝えてきたときのことを思い出す。 「でも、たぶん・・・それは恋ではなかったと思うんだよね。ただただ、親切にしてもらったのに何もお返しできなかったって」 「イシュガルドに平和をもたらしたことが、何よりの手向けじゃないか」 「うん、だといいな」 一抹の希望。目的地はもう目の前。 こんな機会はもうないだろう。覚悟を決めた。 「ついたー。あ、砂の家なら途中でおろしたほうが近かったよね、ごめん」 「いや、構わない。それより・・・」 「なに?」 低くなった太陽が二人を照らす。人気のない静かな住宅街の一角で。 back * top |