まさかレシラムさんが僕を選ぶなんて予想外すぎてちょっとごめんなさいな気分だ。
「レシラムさん?」
そんな僕に自信を持てと言いたいのか、レシラムさんが頭を僕に摺り寄せてくれた。
こんなダメダメだけど、君のパートナーで本当にいいのかな…?
選んでくれた君に聞きたいんだ。



可愛いことこの上ない俺の手持ち癒し担当のスボミーたんは今日も癒し度満点である。
「ふおおおお癒されるううううううう」
衝動に任せてぎゅぎゅっとしたいところだが、スボミーたんの特性を忘れてはいけない。まぁ忘れていることも多いから自分用に毒消し大量保持なんだがな!



どんくさい、とはこいつのためにあるような言葉だと思う。
「ズッ!?」
あ、またこけた。
「大丈夫かー?」
声を掛けるとケッという顔で蔑まれた気がした。何それ理不尽。
「ズッ!?」
あ、またこけた。
俺としては自分のズボンの裾で転ばなくなってからそういう態度をだな…



大概のトレーナーは最終進化した俺達を見て幻滅する。
昔は可愛かったのにどうして、とよよよと泣く。
俺達にしてみればそれはあまりにも自分勝手だ。俺は強くなった。主であるトレーナーを守れる様に。
「はいはい、そんなに挑発すんじゃねぇぞー」
俺の主は、少し変わっている。



進化する前だったら、小さくて絡みつくくらいしか出来なかった。
「んぁ?アーボックは進化してから甘えん坊に拍車かかったか?」
キシシと楽しそうに笑う。
マスターの体を覆うように巻きついて、苦しくない程度に締め付ける。貴方を誰にも見せないようにすることも出来るんだ。
何を考えてるのか全く分からないけど、とりあえず俺のことは好きでいてくれるんだろうっていうことは分かる。伊達に長い時間一緒にいたわけじゃない。
甘えるときだって、ちょいちょいと服の裾を引っ張ってくるし、危ないなって思ったら俺を庇う様に前に立つ。
いじらしい奴だよ。



「ん?何だゴクリン、ちゅーか?」
いや、今あたくしはポフィンがほしいのだけれど。
「でもちょっとちゅーの気分じゃないからごめんなー」
いやいやマスター。あたくしもちゅーの気分じゃなくってよ?だから、ポフィンのおねだりに来た…「でもちゅー」
ご、誤魔化されなくってよ!



「キバー…」
バトル大会でのオノノクスに見惚れるキバゴに苦笑しか出てこない。
分からないけど、強くカッコイイものに憧れるのは人間ポケモン問わずなんだなって考えてたらキバゴが甘えてきた。頭をわしゃわしゃすると、もっととグリグリ擦り寄ってくる。
まだまだ、子どもだなぁ。



俺の主様はなんつーか、軟弱だ。
「ユキメノコ〜また負けたよ〜」
バトルで勝った事があんまない。負けてはこうやって俺に泣きついてくる。別に負けることは責めねぇ。負けて俺も主様も強くなっていくんだと思ってる。
でも泣きつくのは…しかも女の俺に…けど甘やかす俺も俺か…



「じゃ、学校行ってくるな」
オレサマの主人はまだガクセイという身分らしく、オレサマとずっと一緒にいてくれない。それは主人のせいではないと分かっているけど、寂しく感じるのは致し方ない。
「シュバルゴーそんな顔するなって!」
寂しそうな顔、したのだろうか…
寂しいぞ…



「あれ?バチュル?」
ちょっと作業してたら姿が見えなくなった僕の相棒を探す。いつもは肩に乗ってるのに、今日はどっちの肩にもいなくて…
「バチュルー?」
カサカサと動く音は聞こえるのに姿は見えず。試しに鏡を見てみると…
「おま、」
耳ってお前…イヤリングじゃあるまいし…



あちゃしはつよいの!
もっかいいったげる!あちゃしつよいの!
でも、マスターは、なかなかバトルさせてくれない。
きっとあちゃしがよわいっておもってるんだわ!あちゃしはつよいのに!
「はいはい、粋がんなよーまずはムックルからなーレントラーに挑戦しようとすんなよー」



「ペーンードーラー」
うっひょぉぉ!と歓声をあげる拙僧の主は、近代の若者としては珍しい性癖の持ち主なのであろう。拙僧にひっついては歓声をあげ、拙僧と常に一緒にいたがる。
通常、ポケモンは玉に仕舞うのだろうが、それを頑なに拒む。拙僧は主と一緒で至極嬉しいのだが。



「チラチーノってさ、チラリズムからきて―いてっ!」
そんなことをチラチーノに離していたら尻尾でバチィンと叩かれた。理不尽。
「俺何もしてねぇだろ?」
また叩かれた。本当にうちのチラチーノは暴力的で困ったものです。
「だってどう考えてもチラリズムとしか―いてぇえ!」



僕のマスターは考え事をする時、僕のしっぽの葉っぱを触る癖がある。嫌じゃないけど、それが僕は少しくすぐったい。
身じろぐとマスターは不思議そうな顔をして僕を見る。
「どうしたんだ?」
だって、マスターが葉っぱ触るからくすぐったいんだ、て、ば…!
「うぉ!?どした?」