君の足元を飾るのはボクのものでなければならない。
ベルトルトは健康的な肌の色をしているから、きっとこの色もよく映えると思うんだ。 クリスタやアニみたいな色白の人はこの色よりも、黒の方が似合う。
ねぇベルトルト。きっと君は怒ると思うんだ。
君はボクのことを一等に愛してくれているから。 君はボクを壊したがってるって知っているから。
でもね、ベルトルト。だからこそ、ボクはボクを自分の手で壊そうと思うんだ。
そうすればきっと君はボクのことを憎んで、愛して、後悔して、また愛してくれる。 渦巻く感情の中枢にはボクがいるんだ。
ねぇ、ベルトルト。君の真ん中にボクがいるんだ。こんなに素敵なことってあるんだね。
君の絶望色をした瞳にボクが映る。その瞬間、きっとボクは歓喜に胸躍らせるんだろうね。 君の絶望はボクが招いたもの。君の足元を綺麗に飾ったボクのものを見て、君の瞳がどんどん染まっていく。 その光景を想像しただけでボクはどうにかなってしまいそうだ。 でもまだダメだね。
ねぇ、ベルトルト。君のことが本当に大好きだったよ。
ねぇ、ベルトルト。君には聞かなかったけど、ボクのこと、愛してくれたかな。
ねぇ、ベルトルト。早く起きて。
ねぇ、ベルトルト。まぶたを開けて、ボクをその瞳に映しておくれ。
ねぇ、ベルトルト……
嗚呼 夜が明ける
目を覚ました時、初めに瞳に映ったのは愛しい人の寝顔だった。 椅子に座ったまま寝てしまっていたようだ。ベルトルトは自分の膝に乗せている名前の頭に、そっと愛しげに手を滑らせた。 少しくせっ毛な名前の髪の毛は心なしかいつもよりふわふわとしていなかった。体調でも悪いのかとも思ったが、そんな動物みたいなことあるのかと、一人で笑った。
「名前。起きて」
反応がないことにベルトルトは首を傾げる。そんなに熟睡しているのだろうか。 ここ数年はまともに眠れないと昨日冗談めかしてそう言っていたのに。もしかして、自分のところで眠っているからだろうか。だとしたら嬉しいことこの上ない。 頭から頬へと滑らす手に違和感を感じた。 違和感はどんどん広がっていき、全身を違和感が包み込んだ。 濡れていた。 よく見れば白いはずの己のズボンが名前を中心として、赤く染まっている。 目を見開いた。 同時にあり得ないとも思った。 それはただ認めたくないだけだったのかもしれない。だがそれは事実として確証として、そこに存在し、オーラを放つ。 名前は首を切り、事切れていた。首からの出血が、染め上げたのだ。 白いズボンを、赤く赤く。 はいている靴でさえ、赤く赤く。 名前は己の血液を使い、ベルトルトの足元をとても、とても美しく。
血にまみれたブーツから音を響かせて、床に倒れた名前の傷口である首に手を沿わす。
忘れないよ、君が僕にした仕打ち。
忘れないよ、君がこのタイミングを選んだのか。
忘れたくても忘れられないよ、名前。
君の血で、僕のブーツは............................
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