いくじなし


雑渡さんの左耳が聞こえないっていう設定を聞いて、聞こえないほうで愛を囁くヘタレ夢主を受信した。

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机に向かい何か書類を書き留めている組頭。その背中は頼もしいのに、俺ときたら…
ねぇ、組頭。あなたは俺のことをどう思ってます?使える部下ですか?
それすらも怪しく感じるのは偏に俺がヘタレだからだ。ここ一番というときに使えない木偶の坊。…自分で言ってて悲しくなってきた。
「ん、まだ居たのか。今日はもう下がっていいぞ」
「あ、はい。分かりました」
少し俺を振り返り言葉をかけてくれる組頭のその仕草一つに俺の心はいとも簡単に舞い上がる。こんなになるのは組頭だけだ。
すっと組頭に近づく。組頭は振り返らない。
「では、本日は失礼します」
「あぁ」
そのまま少し腰を浮かせ、組頭の左耳へと口を寄せる。

「お慕いしております、雑渡様…」


「右に届かないと思っているあたり、やはりあいつはバカなんだな」
そういうことは、ちゃんと伝えろ。ヘタレ。





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