夜がうるさい


夏の特に蒸し暑い日だったり、冬の特に冷え込む日だったり、春の新緑のにおいが立ち込める日だったり、秋の落ち葉がかすれる音が響く日だったり。
そんな日に、きり丸のトラウマ発動。
怖くて怖くて。同室の2人は寝てるし、起こせない。どうしようどうしようどうしようどうしよう!
5年い組主人公。1人部屋で、夜のんびりと本を読んでいると、忍び育成所らしからぬ足音を響かせてやってくる後輩がいる。
障子をバンッと勢いよく開け、そのまま抱きついてくるきり丸。必死に何かを忘れたいというかのように名前を呼ぶ。寝巻きを必死にこれでもかと握りしめるその手が酷く痛々しい。
なぜこんなに自分にこの後輩が懐いてくれているのか、未だに分からない。
なぜこんなに自分がこの後輩を好いているのか、未だに分からない。

*

なんで先輩じゃないとダメなのか、分からない。
どうして一番安心するのか分からない。
どうして、兄さんみたいに安心するのか、分からない。

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実の兄弟だった二人。でも戦に巻き込まれて、生き別れになる。兄は人攫いされて、運よくいい人に買われた。独り身の寂しいお祖父ちゃんは、兄を息子のように扱い、可愛がってくれた。
でも元々老い先短かったお祖父ちゃんは兄が10歳になる頃に死んでしまう。残された遺産云々で、生き残る術を身に着けるため自主的に忍術学園に。
土井先生に「似てるな」と思われるが、他人の空似だろう程度。
多分兄弟っていう意味合いでは多分再会はしない。




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