陽菜さんにもらった嶺レン
「ボクはねぇ、君が大っ嫌いなんだよ」
満面の笑みで告げられて、ぞくりとした。
背中に当たっている壁も、やけに冷たく感じる。
「なら、どうして」
「どうしてこんなことするのかって?やだなぁレンレン、今言ったばっかりじゃん」
するりと、嶺二の手がレンの首に触れた。
ゆっくりと締め付けられて、レンの表情が歪む。
それでも抵抗できないのは、嶺二にどこか自分を重ねているからだろうか。
「何大人しくなってるの。ほんと、そんなところがボクは…大っ嫌いなんだよ」
口付けられると同時に首を押さえつけられて、視界が霞んだ。
――意識が白く塗りつぶされる直前に小さな声で「ごめんね」と言われたのは、きっと気のせいだ。
END
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