01
ギルベルト率いる本隊が帰還した。
見事勝利を収めたサウゼレス城内は静けさを忘れて活気づいていた。
「以上です。」
「……そうか。」
報告を聞き終え、リリアは凭れさせていた体を起こした。
「情報操作が功を奏したな。」
「光栄です。」
「北に今回の詳細を探らせるな。」
「すぐに。」
男は一礼すると、玉座の間を去って行った。
「二人の褒美は私自ら用意する。朱雀、ギルベルト、考えておけ。……ギルベルト、将兵は?」
「三日程、休みを与えました。」
「そうか。」
この三日だけは、自由だ。家に帰る者、自分のためだけに使う者、軍の規律から解放され、各々好きに過ごすのだろう。
「兵の禄は華国との交渉次第だな。」
「分かりました。」
「朱雀、使者は?」
「すでに部屋に。」
「……。」
肘置きを指で叩きながらゆっくりと思考を回す。被害報告も、置かれている状況も、聞くべき話は聞いた。
「姫様。」
「……何だ?」
「やはり、我等も立ち会うべきでは……」
「必要ない。」
一言の下、リリアは立ち上がると裾を払った。
「内容は評議会で決めた通りだ。」
膝をつく朱雀とギルベルトに視線を向ける。
「話は終わりだ。各々自分の仕事を急げ。」
『イエス・マイロード。』
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