01
あの反乱から二年が経とうとしていた。
二年の間、リリアは見事に北からの侵攻を防ぎ切り、国をまとめ上げた。しかし一方で軍事に重きを置いた新しい国の体制に民衆が怒りを燃やしているのも事実だった。
「やはり、税を一時的に下げるしかないか……。」
リリアは目の前の事態に眉間にシワを寄せた。
「これ以上下げれば国がもちませんぞ!」
「他に手があるのか?」
「さ、されど……」
「そもそも何故そこまで民に尽くさねばならぬのです!?」
「民あっての我等だ。最初にそう言ったはずだが?」
「我々あっての民です!我々がいなければ……」
「それは、本心か?」
「……っ。」
リリアの声に、男は喉を震わせた。
「先代の考えは消えたと思っていたが……。実に、不愉快だ。」
リリアは笑みを浮かべ、警備兵を呼んだ。
「摘み出せ。」
『イエス、マイロード。』
兵士が男の脇を固める。
男に同情と軽蔑の入り混じった視線が向けられた。
「ギルベルト。」
「はい。」
「空いた椅子は、外交官だったな?」
「えぇ。」
「埋める必要はない。しばらく空けておけ。金も浮く。」
「分かりました。」
ギルベルトは小さく頭を下げるとペンを走らせた。
「税はギリギリまで下げろ。書類は三日で持って来い。」
「イエス、マイロード。」
「今日届く荷の対応も変更なしだ。」
リリアが立ち上がると周囲は立ち上がり、頭を下げる。
そのまま解散を告げ、リリアは荷物の受け取りへと歩きだした。
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