北の国へ3



「じゃあ私行くね。わざわざみんな来てくれてありがとう」

搭乗手続きを済ませて荷物検査の列に並ぶ手前で私は四人に頭を下げた。すると彼らは目配せし合い、スーさんが一歩前に出、私に濃紺の折りたたまれた布を差し出した。

「……なに?」
「ちぃと早いけっじょも、クリスマスプレゼントだべ」
「広げてみてください」

言われるがままに広げると、それはノルディック柄の大きめのストールだった。

「うわ、めっちゃうれしい。ありがとうみんな〜」
「こっちは綾んとこよりずっと寒いけえ、風邪ひかねようにな」

私はふかふかのストールを抱きしめた。

「ほら、乗り遅れんべ」

ノル君が急かす。

「うん。わかってる」

言いつつそれを急いで羽織れば、腕まですっぽり隠れた。北のみんなのパワーをもらったみたいに温かい。

「じゃ、行ってくるね。みんな元気で、よい年を迎えられますように!」

見送る四人に手を振り、私はパスポートを握りしめた。デン君だけが、いつまでも大手を振ってくれていた。



やがてその姿も人混みにまぎれて見えなくなった。



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